日刊自動車新聞社

企業の採用ご担当者の方は「モビナビの求人掲載」

メニュー

自動車業界トピックス

アライメントテスター不可欠に

変化する自動車整備への提案 第36回オートサービスショー2019 ②車体整備

自動運転や電動化に代表される自動車技術は年々進化しており、これらは整備業界に大きな影響を及ぼしている。特に自動運転技術を活用した先進安全技術は、高精度な検知デバイス(センサー)の正確な調整が欠かせないため、一段ときめ細かな整備作業が求められる。また、若手整備士の減少に伴い、技能継承も業界の重要課題となった。「第36回オートサービスショー2019」では、出展各社がこれらの対応に向けたアイデアやサービスを競った。

先進安全技術は、高精度できめ細かな整備作業が求められる

緊急自動ブレーキをはじめ、先進運転支援システム(ADAS)の普及に伴い、足回りのアライメントの厳格な調整がより必要になった。アライメントをしっかり調整しなければ、システムが車の動きを正確に制御できなくなり、折角の機能が発揮できなくなるためだ。
このため「ADAS搭載車の普及ペースを考えると、アライメントテスターが絶対、工場に必要になる」(車体整備事業者)との考え方が徐々に広まっている。
ただ、手間のかかる調整を効率的に行えなければ、収益力と顧客満足を同時に落としかねない。こうした悩みを解決する装置として安全自動車が提案したのが非接触式ホイールアライメントテスター「ARGOS」だ。ホイールにターゲットを装着する必要がないため、短時間で測定できる。
軽量化をねらいとした素材の進化も車体修理の変革を促している。特に溶接が難しい素材の接合が重要テーマになっている。最近はBSサミットや日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長、東京都千代田区)などが主体となり、ハイテン材(高張力鋼板)やアルミニウムの溶接・接合技術の講座を増やしている。炭素繊維複合材料(CFRP)など樹脂素材に関する講座もある。
エムエスジャパンサービスは、伊セボラの溶接機を紹介した。鉄やアルミといった素材とそれぞれの板の厚みを設定すれば自動で確実に溶接できることが特徴だ。
整備業界では環境対応の一環として、水性塗料の導入が進められつつある。設備の導入コストや乾燥時間が長くなるといった課題があるが、塗料メーカー各社は水性塗料の扱いやすさの改善に力を入れてきた。その結果、国内塗料メーカーが「溶剤系塗料とほぼ同じレベルになった」と自信を示すほど、実用性が高まった。
塗装作業はまだ「職人の世界」だという認識が強い。こうした中、板金塗装の現場では、若手作業員が不足し、ベテランの測色・調色作業のスキルを継承してもらう機会が少なくなり、将来の塗装作業を担う人材の確保が大きな課題となった。
その解決手法の一つとして、イサム塗料は調色管理測色システム「彩選短スマート」を提案した。数多くのカラーデータベースをもとに、精度の高い調色作業を従来よりも短い時間で可能にしたものだ。ベテランとは異なり未熟な若手のスキルをフォロー可能な最先端機器を導入することも、整備事業の持続的な成長の一つの鍵となる。

※日刊自動車新聞2019年(令和元年)5月22日号より