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自動車業界トピックス

サプライヤー各社、専門性高い人材の獲得を強化 脱炭素社会見据えて

弊社による採用活動アンケート

サプライヤー各社がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)分野の知識を持つ技術系人材の採用拡大に力を入れている。自動運転や電気自動車(EV)などによる技術革新が進む中、次世代技術のトレンドに乗り遅れると生き残れなくなるとの危機感がある。各社とも機械系人材に加えて、電気・電子をはじめとする各分野に精通した人材を積極的に採用しようとしている。ただ、デジタル分野の人材は世界的に不足しており、獲得競争は一層激しさを増している。日刊自動車新聞社がサプライヤーに対して実施した採用活動アンケートを分析した。

新分野に対応した人材の採用が急務

◆自動車の電動化に対応する人材

脱炭素化社会に向けた自動車の電動化対応が求められている中、この領域に強い人材の獲得に力を入れる企業が増えている。エンジン回りや足回りの部品を主力とするIJTTは「電気を動力源とした輸送用機器に対する製品群を強化していくため、特に電気に特化した人材の採用を目指す」という。曙ブレーキ工業は「電気・電子・ソフトウエアなどの専門性のある人材」、東海理化は「IoT(モノのインターネット)化に対応するため、専攻としては電子・情報系」と、電子・電気系の基礎的な知識を持つ学生を求める企業が増えている。

◆先を見据えて、新たな分野を開拓できる人材

新たな製品分野の開拓に向け、現在の製品とは異なる知識を持つ人材の採用に動く企業も多い。澤藤電機は「新たな製品・技術に対応するため、材料・化学・情報系などで幅広く採用する」方針だ。TPRは「これまで採用してきた金属系ではなく、化学系の技術系人材を求めている」、丸順は「業務に直結する技術系だけではなく、情報・化学の要素を持った人材を採用したい」など、既存製品の枠に捉われないエンジニアを採用して事業の幅を拡げようとしている。

◆デジタル人材の採用拡大

自動運転分野で重視される人工知能(AI)やソフトウエア開発、セキュリティー対策など、IT関連の人材は引く手あまた。今仙電機製作所は「プログラミングや回路など、電子制御系のモノづくりに携わりたい技術者」、小糸製作所が「自動運転社会を見据えたセンサー・IT関連分野の技術者」、大同特殊鋼が「次世代のデジタル化社会に向けた情報分野の知見に長けている人材」をそれぞれ求めている。

普及が本格化するコネクテッド関連技術のエンジニアを求める声も強まっている。パイオニアは「ビッグデータを分析し、ビジネスに変えられるデータアナリストをはじめとするデジタル人材」、ファルテックでは「コネクテッドビジネス強化のためのソフトウエア開発の人材」の採用に意欲が強い。

◆ダイバーシティの観点で

グローバルやオープンイノベーションの観点から、ダイバーシティを重視した採用も進む。素材メーカーのクラレは「M&A(企業の合併・買収)を含む新たな要素の取り込みの観点から異文化でリーダーシップを発揮できる人材」を求めている。エイチワンでは「ダイバーシティ&インクルージョンの観点から、国籍や性別に関わらず新しい感性を持った人材」、タチエスが「グローバル展開をより積極的に推進するため、海外志向を持ち、多様性への理解を持った人材」を採用する方針で、性別や国籍を問わず、個人の能力と可能性で選考しようとしている。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月17日号より