新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の期限が5月末まで延長されたことを受けて、臨時休校中の自動車整備専門学校・大学校の多くが授業再開を6月1日以降とすることがわかった。3月上旬から授業が実施されていない異例の事態に、教育格差だけでなく各種資格の取得や就職活動の遅れにつながる懸念や不安が高まりつつある。学校説明会など来春の新入学生を対象とした募集活動も休止を余儀なくされており、厳しさを増している学生確保にも暗い影を落とし始めている。

異例の休校措置で資格取得への懸念が広がる(写真はイメージ)

全国の自動車整備専門学校・大学校の過半数が、政府が「特定警戒地域」に指定している13都道府県に位置する。そのため、臨時休校の期間も緊急事態宣言の期限に合わせざるを得ないのが実情だ。

各校とも授業が行えない状態が続くだけに、「担任によるケアや宿題提出を含めてこまめに学生をフォローしている」(中国地区の整備専門学校)というケースが多い。4月に入学した新入生に対しても自宅での学習を推奨し、インターネットを活用して授業時間の不足を補っている。中には、学校行事やイベントを中止あるいは延期して授業の遅れを取り戻そうとする動きもある。

緊急事態宣言の延長は、来春の新入学生の募集活動にも深刻な影響を及ぼしている。多くの学校が高校生や保護者らを招く「オープンキャンパス」の中止を余儀なくされている。教職員による高校などへの学校訪問も難しい状況だ。少子化や若者のクルマ離れなどで学生の確保が厳しい状況の中で、今回のコロナ禍が苦境に追い打ちをかけた格好だ。

在学生の就職活動への影響も必至だ。例年、2年課程を選択している学生の就職活動は1年生の夏頃からスタートする。6月から通常通りの授業が再開できるか不透明な中で、学生は就職に向けた準備を行うこととなる。「(新型コロナウイルス感染症の影響で)ディーラーなど就職先の自動車業界各社の来春の新卒採用計画が変更される可能性もある。国家資格取得に向けた勉強と就職活動ともに、今年の学生は例年以上に負担を強いられるのではないか」(首都圏の整備専門学校)と懸念する声も多く聞かれる。