緊急事態宣言が全国に拡大されたことを受けて自動車業界にも新型コロナウイルスの影響が一段と広がりそうだ。自動車メーカーやサプライヤーはこれまで7都府県の事業所を中心に在宅勤務の原則化をはじめとする感染防止策に取り組んできたが、全国でより高いレベルの対応が求められるようになる。また、宣言の対象地域拡大で自動車の需要が低迷すれば、自動車メーカー・サプライヤーは稼働計画をさらに見直す必要が出てくる可能性もある。

政府は緊急事態宣言を全国に拡大

政府は16日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大。従来の7都府県に、感染拡大が進む北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県を加えた13都道府県を「特定警戒都道府県」と位置づけて感染拡大の防止に向けて重点的に取り組む方針だ。

自動車メーカー各社はこれまでも段階的に感染防止策を強化してきたが、対象地域の拡大を契機にさらに対応レベルを引き上げようとしている。ホンダは、これまで在宅勤務を推奨レベルにとどめていた鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)、熊本製作所(熊本県大津町)の間接部門や栃木県の開発拠点の従業員を原則在宅勤務とする検討を開始した。その他のメーカーも原則在宅勤務とする拠点を拡大する方向で検討に入った。

サプライヤーも対応を進めており、電気自動車用モーターなどを手がける明電舎は、原則在宅勤務とする対象地域を従来の7都府県から特定警戒都道府県に拡大する。また、自動車の販売体制では三菱ふそうトラック・バスが17日、全国194拠点の営業時間を5月6日まで2時間短縮すると発表した。

販売各社は各地域の知事の方針を踏まえて対応を最終的に決めるとみられるものの、7都府県の販売会社が進めている時短営業などの対応が進みそうだ。

社会インフラであるサービスの受け入れ体制は維持するものの、感染拡大リスクを低減するため、国土交通省は政府が車検の有効期間延長措置を全国で展開することを決めた。当初の7都府県で実施している6月1日までの延長措置を新たに宣言の対象地域となった40道府県にも拡大する。