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自動車業界トピックス

自動車メーカー各社、生産でも「脱炭素」 再エネ導入を拡大

工程も見直し効率化  2030年頃に事業活動でのカーボンフリー実現へ

世界的にカーボンニュートラル社会の実現に向けた動きが加速する中、電動車両シフトを打ち出している自動車各社が、生産などの事業活動の面でも二酸化炭素(CO)排出量を削減する取り組みを急いでいる。太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大や、効率の高い生産設備への切り替え、生産工程見直しなどを推進している。各社は2030年頃に事業活動でのカーボンフリー実現を視野に取り組みを加速している。

再生可能エネルギーの導入を加速する(写真はイメージ)

50年までにグローバルで工場のCO排出量ゼロを目指しているトヨタ自動車は、30年に13年比35%削減するターゲットを設定した。すでに欧州域内に展開しているすべての工場と、南米の工場4カ所に加え、元町工場(愛知県豊田市)内の燃料電池車(FCV)「ミライ」の生産ラインはすべて再エネ電力を導入済み。今後も製造工程の改善や再エネ電力の利用拡大を進める。

日産自動車は、22年までにグローバルで生産1台当たりのCO排出量を05年比36%減らし、塗装工程では一部を除いてCO排出量を従来比30%以上削減する計画。英サンダーランド工場では、再エネ発電施設を大幅に拡張、工場で使用するエネルギーの20%を敷地内で生み出す再エネで賄う。

ホンダは、北米で再エネ由来の電力購入契約を結び、北米工場で使用する電力の60%以上を実質カーボンフリー化。スズキは30年までに二輪車を生産する浜松工場(浜松市北区)でカーボンニュートラルを先行して進める計画。三菱自動車は岡崎製作所(愛知県岡崎市)で、太陽光発電設備と使用済み車載電池を活用した蓄電システムを4月に本格稼働させた。

海外の自動車メーカーも脱炭素化へと舵を切る。フォルクスワーゲン(VW)は、30年までに欧州域内で車両1台当たり生産時のCO排出量を18年比40%削減する計画を公表し、25年までに140億 ユーロ (約1兆8600億円)を投資する計画だ。30年から中国を除く全工場をグリーン電力で稼働するほか、25年までに欧州域内に風力と太陽光発電所を建設する。ゼネラル・モーターズ(GM)は再エネ導入を順次拡大し、30年までに米国、35年までに世界の全拠点でグリーン電力を活用する。

各国政府がカーボンニュートラルを宣言するなど、脱炭素化の潮流が高まっている。日本政府も温室効果ガスの排出量を30年度までに13年度比46%減らす目標を打ち出し、自動車各社も事業活動でのCO排出量削減が求められている。車両単体の電動化に加え、車のライフサイクル全体での環境負荷低減が求められる中、各社は地域のエネルギー事情を踏まえ、製造時のCO排出削減を進める。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月28日号より