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自動車業界トピックス

高度化進む運転支援システム どこに利便性見いだすか 実用性やコストを天秤に

自動車メーカー各社、違い見える

自動車メーカー各社が運転支援システムの高度化を加速している。トヨタ自動車はドライバー監視の下に高速道路上での分岐や車線変更、追い越しなど自動で行う「アドバンスト・ドライブ」を市場投入する。「レベル2」(運転支援車)域内において、ステアリングから手放し状態で自動走行するいわゆる「ハンズオフ」機能は日産自動車やスバルが実装済み。一方、ホンダは限定領域での条件付き自動運転「レベル3」を世界で初めて市場投入した。レベル2とレベル3では運転の主体をドライバーもしくはシステムが担うかで大きな差があるが、一方で自動走行の機能差は縮まっており、実用性やコストを天秤にかけてユーザーの利便性をどこに見いだすか、メーカーごとの違いも見えてきた。

国内の主な高度運転支援及び自動運転システム

運転支援システムの高度化で先鞭をつけたのが日産の「プロパイロット2.0」だ。高精度3次元地図(HDマップ)や各種センサーによって国内メーカーで初めてハンズオフを採用した「スカイライン」を2019年9月に投入した。

スバルは「レヴォーグ」で初採用した「アイサイトX」でハンズオフを実現した。渋滞時のみで機能するが、最大の特徴はアイサイトXと通常モデルとの価格差を35万円程度とした点だ。発表から半年が経過した現在においても、アイサイトXの受注比率は9割超を維持しており、戦略的な価格設定で高度運転支援システムの普及を後押しする。

トヨタのアドバンスト・ドライブは、レクサスのフラッグシップセダン「LS」と燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載する。同社の量産車で初めてLiDAR(レーザースキャナー)を搭載するほか、AI(人工知能)技術も採り入れることで、より高度な運転支援機能を実現。同社はあえてハンズオフ機能を前面に打ち出さず、高度な運転支援機能によって「いかに安心して(運転をシステムに)任せられるか」(前田昌彦執行役員CTO)に重点においた。高コストなLiDARを採用しながら先進運転支援システムの普及をにらみ、ミライでは通常モデルとの価格差を55万円とした。

ホンダは高級セダン「レジェンド」で世界初のレベル3を実現し、自動運転では他社をリードする。ただ、販売は限定100台、通常モデルとの価格差は300万円以上とユーザーを選ぶクルマであることは事実だ。ホンダでは、レベル3開発のノウハウや知見、さらに商品化に伴う実走行のデータをレベル2の高度化などに生かす考えだ。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月9日号より