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自動車業界トピックス

電子制御装置整備の全国網構築へルールづくり~「特定整備制度」来春スタート~

 〈インタビュー〉国土交通省自動車局整備課 平井 隆志課長

従来の分解整備の範囲を拡大し名称を変更した「特定整備制度」が来春にスタートする。新たな認証資格「電子制御装置整備」を追加し、自動運転車の整備対応も見据えた制度設計を整えた。新制度の総括、整備事業者の対応、今後の予定などについて、国土交通省自動車局整備課の平井隆志課長に聞いた。(中野文彰、水町友洋)

国交省自動車局整備課の平井隆志課長

―改めて新制度が目指すものとは

「これだけ自動車の先進技術が進化する中で、現在エーミング作業を行っている事業者はごく一部に限られる。今後さらに先進技術搭載車が普及する環境下では整備に対応できる工場を全国ネットワークとして構築していくことが重要になるだろう。そのための要件、ルール作りがわれわれの仕事だと認識している」

―今後の予定は

「省令、告示を年明けの1月には公布し、その後、改めて各方面に説明に回りたいと考えている。公布からあまり時間をおかないタイミングで行いたい。手続きの説明など細かな部分の説明になると思う。われわれと運輸局で全国各地で丁寧に説明していきたいと考えている。現在、説明会で配布する資料を作成しており、用紙1、2枚でそれぞれの事業者側の立場から、分りやすいものとしたい。前回の説明会でもそうだったが、われわれの説明の時間は極力短くし、質疑応答に多くの時間をとり、参加者の理解を図っていきたいと思う」

―整備事業者が取り組むべきことは

「整備関連の事業者といってもさまざまな形態、規模があるだろうが、今できることとしては『電子的な整備に慣れる』ということが必要だと考えている。外部故障診断機(スキャンツール)を使う、整備要領書を見るなどという作業は、昔ながらの経験や勘で行っていた作業とは違う。整備作業は技術の高度化で、これまでと大きく違ってくる。まずは電子的ツールに触って体験し、慣れていってもらいたい」

―経過措置を設けた理由は

「4年後は電子制御装置整備認証が必要になる。経過措置を設けた意味をご理解いただき、早く電子ツールに慣れるなど迅速な対応をお願いしたい」

―2級整備士らに講習を行う。講習会の実施で具体的に決まっていることは

「近いうちにテキストやカリキュラムの案を示せると思う。そのカリキュラムに沿った実技訓練を現在行っている機関であれば認めていく。さらに、法令についての変更点などを学ぶ学科と、技術と知識を持っているかを確かめる試問はわれわれで全力を挙げて実施していく」

―自動車整備士資格を見直す議論も始めた

「いくつかの論点がある。1つ目は自動車技術そのものが変わってきている中で、現在の整備士の分類が技術の面で本当にマッチしているのかということ。2つ目は新たな電子制御装置整備が出てきた中で、今の整備士制度が適当であるのか。そして、業界の人材不足や整備士の魅力向上といった観点から整備士という資格を見直す必要があるのではないかという3点だ。こうした視点から将来の整備士制度の在るべき姿をワーキンググループで議論していく」

※日刊自動車新聞2019年(令和元年)12月23日号より