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自動車業界トピックス

米NASCARのピットクルーに挑戦

トヨタ自動車大学校、メジャーレースの現場を肌で

ピットクルーとしてNASCARに参戦し 2位を獲得したトヨタ自動車大学校の学生チーム6人
視察したバーテックススポーツの 石川セールスマネージャー

トヨタ自動車大学校の合同チームが、7月31日に米アイオワ州で開催された「NASCAR K&N プロシリーズイースト第9戦」でピットクルーに挑戦し、東西混合戦で2位(イーストシリーズで1位)を獲得する快挙を成し遂げた(既報)。学生6人が参戦したチーム「ハットリ・レーシング・エンタープライズ」(HRE)の日本オフィスであるバーテックススポーツ(服部茂章代表、東京都港区)の石川一郎セールスマネージャー
(SM)に現地での奮闘ぶりを聞いた。


NASCARへのチャレンジプログラムが始動したのは2012年。最初は東京校単独の研修で始まり、翌13年は名古屋校・神戸校2校合同で実施。14、15年は東京・名古屋・神戸の3校合同の研修として2年連続で選抜チームを結成した。モータースポーツを通じてエンジニアとしての魅力や学習意欲を引き出し、将来を担う若手のレベルアップを図ることが狙い。モータースポーツの現場、しかも米国のメジャーな大会を肌で感じるという経験は貴重だ。

HREは国内外の多くのレースで優勝し、チャンピオンを獲得してきた服部茂章氏が08年に米国で立ち上げたレースチームで、全国のトヨタ自動車販売店向けにNASCAR海外研修プログラムの受け入れを行っている。
その日本オフィスのバーテックススポーツで業務に当たり、今回視察に同行した石川SMは茨城トヨペットの元エンジニアで、モータースポーツを通じた人材育成を学ぶため今年4月より同社に出向している。「米国でNASCARはアメリカンフットボールに次ぐ人気のスポーツ競技。子どもからお年寄りまでファン層が広くスポンサーも多い」とレースの位置付けを示す。参戦したK&NプロシリーズはNASCARでは上から4番目の中間に位置する。
プロが腕を競うレースに挑むため本格的な研修が待っている。
学生チームはレース参戦11日前に現地入りし、NTI(NASCAR Technical Institute)米国自動車大学校で特別講習を受講。レース車両のエンジンやシャシーの構造、工具・機器の取り扱いを学び、ピット作業を集中的に練習する。その後HREでレース車両作成を行う。サスペンションやデフなどをオーバーホールし、エンジン交換も実施してHREのスタッフと共同でクルマを組み上げセッティング。「ピット作業は速さと正確さが求められる。ドライバーの命を守り、安心させるのもエンジニアの大切な仕事」であるため指導に熱が入る。

現地ではレース車両の構造やピット作業などを学ぶ

なお、講義は英語で行われるため、事前にHREスタッフが専門用語を中心とした英語のレッスンをオンラインで行い各自英会話を猛勉強して臨んでいる。「現地スタッフとの共同作業は英語だけ。学生の語学能力のみならず、主体性や協調性といった社会人として働く際に重要となる要素も向上させる」という。

ピットインでは特訓の成果で作業をやり遂げた

そして、レース本番は車検準備作業を経て、予選を38台中7番手で終えた。決勝では75週目のハーフタイムで全車ピットインした中、学生達は正確な作業とチームワークでタイヤ4本を交換し、ハンドリングに微調整を加え、コースへと送り出した。そして、ドライバーのジェシー・リトル選手の渾身のアタックもあり2位でゴールし、イーストシリーズではトップフィニッシュとなった。学生チームの戦績としてはNASCARの歴史に刻む結果を残した。
参加者からは「あきらめずやりきる力が身につけられた」「不安もあったが興奮や楽しみの方が何倍も強かった」といった感想が述べられている。石川SMは「学生は真剣そのもの。販売店でもお客様の命を預かるのは同様で、ミスを犯せない正確さや命の重さを学べる」と話している。

関東支社 清水 泰典

日刊自動車新聞2015年(平成27年)9月28日号[第20面]より   (写真はバーテックススポーツ提供)