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モータースポーツトピックス

〈トピックス〉ニッサンメカニックチャレンジ スーパーGTで整備人材育成

日産自動車系列ディーラーのメカニック(テクニカルスタッフ=TS)が国内最高峰のGTレースである「スーパーGT」(GT300)に挑戦する「ニッサンメカニックチャレンジ(NMC)」が今シーズンから始まった。これまでは日産・自動車大学校と近藤真彦氏が率いるコンドーレーシングが展開するレース活動を通じた人材育成プロジェクトだったが、今期からはディーラー選抜のTSもチームに帯同。日産グループ全体での整備士育成プロジェクトとして展開している。整備業界が直面するメカニック不足の解消や離職防止、モチベーションアップの一助となるのか。注目が集まっている。
日産でNMCを統括する日本アフターセールス本部アフターセールスリテンション部の長谷川浩嗣部長は、整備士を取り巻く環境が厳しくなる中「TSが自分の仕事の大切さを再認識したり、誇りを持ってもらうための機会を提供したいとずっと考えていた」と明かす。
日産では社内資格制度や技能コンテストなどを通じて、TSのモチベーションアップや技術力向上を図ってきた。新たにスタートしたNMCは「仕事の中で得られる新しい充実感、喜び、夢を叶える道」(長谷川部長)と捉えており、TSのモチベーションを高める取り組みの一つとしてNMCを展開していく方針だ。
スーパーGTに参加するTSは1戦ごとに交代し、今年はタイラウンドを除く全6戦で計36人が挑戦する。開幕戦に参加した京都日産の山崎大貴さんは「レース業界に興味があって整備士になった。今までは見る側だったが、今回、少しでも携われる側として選んでもらったので微力ながら力を発揮したい」とNMCへの期待感を示していた。
3戦が終了した今シーズンのスーパーGTだが、参加者に共通するには自分自身のこと以上に、後輩や店舗のこと、会社のことを気に掛けている点だ。それはディーラーで働くTSを参加させるというNMCの新たな取り組みに対する期待の大きさを示している。同じく開幕戦に参加した愛知日産の東江恭弥さんは「NMCを継続することは日産全体の整備士のモチベーションが上がっていくと思う」と話す。
モータースポーツに対する販売会社の経営層の考えに温度差があることも事実だ。ただ、この活動が全ての系列販社に浸透した時、日産グループには高いモチベーションを持つ整備人材が育っているかもしれない。

※日刊自動車新聞2019年(令和元年)6月20日号より