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よくわかる自動車業界

拡大する国内のリコール 共通、モジュール化も背景 一つの部品が大きく影響

国内のリコール(回収・無償修理)規模は拡大を続けている。2017年度の届出件数は前年度比3.6%増の377件。対象台数は同51.4%減の約770台と半減しているが、これはタカタ製エアバッグの不具合に関する新たな届出が減っているため。一方で、届出を車両の通称名でみると、直近の2年間は前年比で2割前後の増加ペースとなっている。部品の共通化やモジュール(複合部品)化が進んだことで、1個の部品の不具合が及ぼす影響が増大しているといえる。

設計や製造過程でさまざまな不具合リスクが潜む(イメージ)

リコールや改善対策、サービスキャンペーンに至るような部品の不具合は、原因を究明すると設計や製造などさまざまな段階に起因する。部品の設計段階では、自動車メーカーと素材メーカーや部品メーカーが初期の企画から共同で手がけるケースが多い一方、製造段階では部品メーカーでの不具合に起因するところが多い。1件で100万台を超えるような大規模リコールでは、費用負担の面で部品メーカーに大きな負担を強いるケースも少なくない。
タカタ製エアバッグのリコール問題をめぐっては、その費用負担が莫大な負債としてタカタ(当時)にのしかかり、17年に同社は東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請。国内の製造業では戦後最大の経営破綻となった。リコールに至るような不具合の発生は、企業経営にとっての最大のリスクとなることは明らかだ。
今後も新たな素材や技術の実用化により、これまでは想定できなかったような不具合が発生する可能性がある。また、車両技術の電子化や知能化も新たな不具合を生む可能性がある。完成車メーカーはもちろん、部品メーカーにもさまざまなリスクを念頭に置いた入念な対策が求められる。

※日刊自動車新聞2019年(平成31年)1月15日号より