新型コロナウイルスの被害を抑えるため、自動車流通各社は様々な対策を講じている。インポーター各社はテレワーク制度の適用範囲を拡大するなどし、可能な限り出社する社員を減らす方針を打ち出した。

カー用品店ではマスク着用を知らせる案内を掲げている(写真はオートバックス佐賀南バイパス店)

メルセデス・ベンツ日本(上野金太郎社長、東京都品川区)は、通常1カ月当たり30時間までとしている在宅勤務の上限を撤廃。フォルクスワーゲングループジャパン(ティル・シェア社長、愛知県豊橋市)も週に1回までだったテレワークの利用可能回数を無制限にしたほか、フレックスタイム制度のコアタイム(午前10時~午後4時)を無くした。テレワークや在宅勤務を推奨する動きが多い中、ボルボ・カー・ジャパン(木村隆之社長、東京都港区)は、「原則」テレワークとした。2月27日以降、本社に勤務する約90人は、会社で行わなければならない業務がある場合以外は、出社させない方針にした。今週末の状況に応じて次週以降の継続を判断するという。さらに3月に予定していたディーラー対象の大規模な会議も中止する。

アウディ・ジャパン(フィリップ・ノアック社長、東京都品川区)は、テレワークの上限やフレックスタイムの条件を緩和。子会社のアウディ・ジャパン販売(斎藤徹社長、東京都世田谷区)が関東と関西で運営する販売拠点で、平日の営業開始時間を1時間遅い午前11時にし、社員の時差通勤を促す。

損害保険ジャパン日本興亜は28日、小中学校や高校が臨時休校するのにともない、子育て中の社員に特別休暇を付与することを決めた。

自動車大学校・専門学校は卒業式と入学式の対応に追われている。トヨタ東京自動車大学校(上田博之校長、東京都八王子市)は、19日に予定していた卒業式を縮小。参加者は卒業生と校内関係者のみとし参加人数を最小限に抑える。入学式の措置は未定。

日産横浜自動車大学校(石井隆也校長、横浜市旭区)も卒業式を縮小することを決めた。卒業生と教員だけで実施するという。入学式への対応は未定。

ホンダテクニカルカレッジ関東(都築俊一校長、埼玉県ふじみ野市)は、13日の卒業式を縮小して学生と教員のみが参加する。4月6日に予定している入学式は、会場を例年のツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)から校内に変更する。

埼玉自動車大学校(金子勉校長、埼玉県伊奈町)は、18日に開く卒業証書授与式を縮小。卒業生298人と教員のみが出席する。

カー用品業界は除菌ティッシュといった感染防止アイテムの売れ行きは好調だが、企業活動には影響が出ている。

オートバックスセブンは2月26日から3月15日まで、本社および全国8カ所の事務拠点に勤務する約800人を対象に原則在宅勤務もしくはテレワークの措置を取っている。出勤しなければならない場合は上司の許可を取り、できる限り時差出勤を心がけるよう呼びかけている状況だ。店舗営業は続けているが、従業員にはマスクやビニール手袋の着用を推奨している。

イエローハットは部署単位で時差出勤などの対応を必要に応じて取る予定。店舗ではマスクの着用をスタッフに推奨するとともに、その旨を来店客に知らせるPOPを掲示するなどの措置を取っている。

アフターマーケット関連イベントも影響を受けた。3月11~13日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催を予定していた「第18回国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2020」は延期を決定。新たな日程は後日発表する予定となっている。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)3月2日号より