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よくわかる自動車業界

鉄の値段「8万~9万円/トン」

 自動車の車体総重量の大半は鉄鋼材料が占めている。最近は、エンジンのシリンダーブロックやボディーの一部などにアルミニウム、樹脂などの軽量素材を用いるケースも増えているが、一般的には約7割が鉄の重さだと考えていい。例えば、車体重量が900キログラムの軽自動車ならば600~650キログラム。1400キログラムの小型車ならば、おおよそ1千キログラム程度は鉄ということになる。
当然のことながら、鋼材の価格は車両の販売価格にも反映される。自動車部品の生産コストが引き上がるからだ。しかし、鉄の値段が高騰したからといって、それをすぐに一般ユーザーへの販売価格に反映することはできない。値上げが与えるインパクトが大きく、販売台数の減少につながりかねないからだ。このため、部品メーカーは鉄の相場を常に意識、生産コストへの影響を踏まえたうえで、生産手法を効率化するなどのコストを下げる努力を続けている。
骨格部品やボディーなどに使われる自動車用鋼板の現在の流通価格は1トンあたり8万~9万円。これに近い金額が愛車に使用されている鉄の値段だということになる。この相場は常に変動する。米国の住宅バブルに牽引され世界経済が活気を帯びていた2008年から09年前半は、今の1・5倍の流通価格だった。リーマンショック直後には現在の水準まで急落したものの、その後は中国や新興国での自動車の加速的な普及や都市開発の需要に後押しされ、一定の価格にとどまっている。今後、1970年代のオイルショックのような資源不足が顕著化すれば、再び高騰に向かう可能性も高い。