日刊自動車新聞社

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仕事研究コラム

自慢のメカニック

激動の業界にあっても変わらない整備士の必要性

深刻さ増す人材不足 求められる処遇改善

 

自動車業界がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展によって大きく変化する中、自動車メカニックのあり方が変わろうとしている。高度化する技術に対応するための整備情報の収集や技術習得などの〝本業〟に加えて、メカニックだからこそ説得力や強みを発揮できる車に詳しくないユーザーに向けた説明や整備収益拡大に向けた付加価値用品や整備の提案―など仕事の幅は広がりつつある。取り巻く環境が変わろうとも、自動車の安全・安心を支えるメカニックの役割は変わることはないだろう。

「車座対話」で首相が意見交換

長引くコロナ禍による半導体不足や海外生産部品の調達難などによる自動車メーカーの生産調整が響き、新車販売に大きな影響が出ている中、自動車販売店ではサービス収益の重要性が高まっている。ただ、業界全体の課題として挙げられるメカニック不足は一層深刻さを増している。国や業界ではメカニックの仕事について説明する機会を設けているほか、インターンシップや職場体験などを通して自動車整備業の仕事の魅力を伝える努力を続ける。また、整備工場の経営者を対象にした人材育成セミナーを開き、給与水準や休暇・休日の充実など、処遇改善の重要性も呼びかけている。
こうした中、今年1月には、岸田文雄首相が国民の声を直接聞く「車座対話」を都内で実施し、自動車整備士との意見交換に臨んだ。岸田首相は「安心・安全な車社会を支えている業界の皆様のご苦労を実感した」と総括した上で、「こうした分野で頑張っている皆さんの処遇改善に向け、業界全体の収益力向上と併せた賃上げも考えていかなければ」と述べた。メカニック不足の要因の一つと位置付けられていた賃金や処遇の見直しについて検討するきっかけになると期待感を込めてみられている。

職場理解の機会次第で注目集める可能性も

2021年度の運輸支局長などによる高校訪問の総括の中で、主な意見として「整備業は食いっぱぐれのない職種と認識」「働きながら資格を取れるのはありがたい。興味を持ってくれる生徒は一定数いる」などといった比較的前向きな意見がある一方で「自動車整備科に入っても半分は全く違う道へ進んでしまう」「整備士は国家資格なのに給料が安い印象」「整備士へのあこがれを持続させる方策が必要」との意見も出たという。また、インターンシップの重要性や職業理解の機会が増えれば自動車整備士に目が向く生徒が増える可能性を指摘する声もあった。


整備士目指す思い持続できる環境を

販売店各社などではすでにインターンシップや職業体験、業界や会社説明などの機会を設け、人材の確保に動いている。また、職場改善や処遇の見直しを進める企業も増えつつある。「車が好きだったから」「父が整備士でその背中がカッコよく見えたから」「国家資格を取得したかったから」など、メカニックを目指したきっかけはそれぞれ。ただ、その思いを持続できる環境づくりが求められているといえそうだ。

 


※本特集に参加していただいた皆さんには撮影時のみマスクを外していただくようお願いしております