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自動車業界トピックス

〈トップ対談〉成長が期待される輸入車市場の展望

日本自動車輸入組合(JAIA)上野金太郎理事長×日刊自動車新聞社 髙橋賢治社長

電動化・自動運転の行方は  試乗機会を積極的に創出 
 販売台数が年30万台規模に成長した輸入車市場。ディーゼルエンジン(DE)車やSUVの人気に加え、残価設定型クレジットなど買い方の多様化が輸入車市場の伸長を支えている。さらなる成長が見込まれる輸入車市場の展望を日本自動車輸入組合(JAIA)の上野金太郎理事長に話を聞いた。
(聞き手・日刊自動車新聞社 髙橋賢治社長)
日本自動車輸入組合(JAIA)上野 金太郎理事長×日刊自動車新聞社 髙橋 賢治社長

小型車投入活発購買層に動き
髙橋「輸入車のマーケットは3年連続でプラスとなっています。年間販売30万台という実績をどう見ていますか」
上野理事長「欧米市場の比率から言えば、日本の輸入車シェアは1桁台と若干少なめではないでしょうか。ドイツは3割が輸入車で、韓国でも17%が輸入車です。伸びしろがあってもおかしくありません。ある調査によれば、日本では国産車以外は購買を考えていないという意識があるそうです。購入の際に、輸入車は国産車の比較対象に入っていないということです」
「それが変わりつつあります。特に、ドイツのブランド各社が小型車を活発に出し始めたことで、購買層が動いています。世界的に小型化や電動化が進んでいるため、チャンスはあります。ただ、店舗数は日本車ブランドに比べれば少なく、今の来店型販売の形態を続けている状態では、数の原理で日本車ブランドに負けてしまいます。インターネット販売など、購入形態が変われば、状況も変化するのではないでしょうか」
髙橋「日本で販売店を増やすのはコストや建築規制などを考えると容易ではありませんが、どう捉えられていますか」
上野理事長「地震が多くその対応が必要になるなど、それぞれの国の事情や実態があり、やむを得ないこともあります。ネガティブな方向には進んでいません。ただ、店舗を増やせば過分なコストがかかってしまいます。例えば、自動車のショールームや整備工場のスペースといった土地の確保の問題があります。自動車の保有が増えると、整備能力の拡充も必要です。その中でインポーター各社は最小限を最大限にするような方法を考えています」

シェアリングの普及にハードル
髙橋「販売形態でいうと、シェアリングもその一つで、注目度が高まっています」
上野理事長「日本では都市部では電車やバスが整っているため、車がなくても生活ができます。しかし、日本が自動車産業の国だということに着目すると、諸外国からは“日本は作って輸出する”と捉えられてしまいかねません。JAIAとしては30万台というパイを少しでも広げていけるよう、積極的に欧米の所有の仕方を展開しており、各社ともシェアリングに着目しているのです。シェアリングの普及には超えなければならないハードルもあります。鍵の管理など、装置の課題は解消されてきていますが、利用する消費者側の意識も変える必要があると思います」
「そもそも『輸入車は高価なので、お金を借りてまで買う必要がない』といった考えを持っているユーザーは多く、その先入観を払しょくするためにインポーター各社はファイナンス商品を工夫しています。また、『輸入車は故障しやすい』というバイアスがかかっている人も依然として多いのではないでしょうか。そのような意識を変えていく必要があります」
髙橋「漠然としたイメージで輸入車を買わない理由を見つけてしまっている面があるかもしれませんね」
上野理事長「イメージが先行しているところがあります。会員企業各社は充実した部品庫を持っており、アフターサービスの面でもきちんと対応ができています。故障率も下がっており、国産車も含め共用の部品も多くなっています。輸入車に乗らずに、思い込みで苦手意識を持ってしまう“食わず嫌い”があるのではないでしょうか。だからこそ、輸入車に乗るチャンスを積極的に作っていくことが重要だと我々は捉えているのです。昔は試乗せずに車を買う人も多かったのですが、今は店舗で試乗機会をなるべく創出するよう取り組んでいます」

「まだまだ伸びしろはある」と、語るJAIAの上野金太郎理事長

低金利・残価ローンで買いやすく
髙橋「輸入車は『特別な存在』『憧れ』という考え方がある一方で、販売台数を含め国産車と同じ土俵でやっていくことも重要だという考えもありますが」
上野理事長「輸入車と国産車を単純に比較する人もいますが、例えば、カバンなど消費財の話になると、自分の好きなブランドを買っています。カバンであれば高価であっても好きなブランドのものを購入していますが、車になると話が変わるのでは。コストの面も重要になりますよね。まず輸入車が乗りやすく、お得感があると理解してほしいと思います。各社とも低金利や残価設定型ローンをいち早く導入するなど、きめ細やかな販売手法をとっています」
「一定の金額を支払って短期間でクルマを乗り換える提案は、国産車メーカーが最近始めたことで話題になりましたが、輸入車ではすでに展開しているところもあります。国産車メーカーの参入により、こうした提案が人々の注目を集めるのは、輸入車にとっても良いことです。海外ではレンタカー事業者が自動車を売る動きもあり、日本でも保有の形態が変わってくることもありえるかもしれません」
髙橋「輸入車はSUVやDE車が好調ですが、どう評価されていますか」
上野理事長「10年前はSUVのマーケットはありませんでしたが、現在は各社とも2割以上のシェアを持っています。DEの燃料の価格は、ヨーロッパではガソリン並みですが、日本では課税が低く燃料が安いです。その上、省燃費で高出力のクリーンな燃料で、かつてのように『カタカタと音が鳴る』という印象も変わってきています。コストメリットと商品性能が評価され、DE車が支持されているのだと思います」
髙橋「一方で、グローバルでは電動化の流れが着実に進んでいます。日本ではどうでしょうか」
上野理事長「確かに世界でみると、DE車は減少し、電動化にシフトする傾向になっています。バッテリーや走行距離の技術が進歩しており、国によっては政府が電動化を主導しており、我々が想定しているより早いペースで普及するかもしれません。インフラについて、『充電設備が足りない』という話がありますが、本当に現在よりも数は必要なのでしょうか。一般的に、1回で走行する距離は70~80キロメートルほどですが、各社が販売するEVのバッテリー容量は300キロメートル以上あるため、充電の頻度もそこまで多くはないと思います」
「技術の革新に伴って、電動化には乗り越えていかなければならないことがあります。各社はそれを踏まえたうえで開発を進め、投資も行っています。整うには時間がかかりますが、確実に商品やサービスの品質は上がっていくでしょう」

販売形態の多様化をと語る日刊自動車新聞社 髙橋賢治社長

髙橋「ブレークスルーを含め、電動化がどのタイミングで急速に進化・普及するかを見通すのは難しいところです」
上野理事長「『○○が無い』という理由で買わないのは、やむを得ません。電動車で言えば、『家に充電設備がある』『月に200~300キロメートルしか乗らない』『EVに興味がある』という3つの要素が揃っていれば買う人がいます。一方で『充電設備がない』『(EVに)興味がない』『毎日500キロメートル走る』という人には電動車は向かないと思います。まずは必要な人たちに供給していき、流れの中で生まれる需要を取りこぼさないことが大切です」
髙橋「電動化と同時に自動運転も大きなテーマです。その目指すものをどう考えていますか」
上野理事長「人間の感覚を超えて機械(システム)が安全に走行することです。自動車事故ゼロを目指し、緊急自動ブレーキなどの搭載を積極化しています。ただ、自動運転と現在の人が運転する車両が共存できるかという点では問題があります。自動運転専用のレーンを作る場合、日本の高速道路は二車線が多いため渋滞を避けられるかなどという解決すべき課題もあります」
「自動運転は事故ゼロを目指すのが軸にあり、その上で人間の感覚ではなく機械に任せるということです。どこまで機械に依存できるのかは難しいところではないでしょうか。自動車の楽しさは、自分で運転して行きたいところへ行くというところにあります。自動運転がその運転本来の楽しさをどこまでカバーできるか不透明なため、その点も今後考慮する必要があるのではないでしょうか」
髙橋「テレマティクス技術が進化しており、輸入車でも注目を集めています」
上野理事長「運転時に操作や確認で目線が動くことは危険です。そこで音声認識で操作をすることで、運転に集中できるようにしているブランドも多々あります。かつてはライトをつけるのにスイッチを入れましたが現在は自動でできます。ワイパーやバックカメラも同様です。利便性と安全性を兼ね備えた中で、運転中の阻害要因を減らしていくことがテレマティクスの役割ではないでしょうか」

※日刊自動車新聞2019年(平成31年)3月5日号より