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自動車業界トピックス

事業承継問題や人材確保難

「次世代への転換点~2018年度整備白書から~」(3)減少傾向が続く整備工場

整備業における最重要課題は、人材不足への対応だ。専・兼業では後継者難による事業縮小や廃業などが年々目立つようになり、事業継続での大きな課題となった。日々の業務をこなす生産性の維持だけでなく、技術や事業の承継を意識しながら、長い目で対策を講じることが必要不可欠である。
2012年以降の状況をみると、事業場数は9万2千工場前後で推移。18年度の事業場数は9万1883工場で、対前年度比118工場減(0.1%減)となり5年ぶりに9万2千工場を下回った。数字上は微減である。
ただ、内訳をみると、特定の装置を専門に整備する「専門認証工場」は180工場増(2.6%増)の7207工場に増加した。全体の工場数の減少は、あらゆる装置の整備に対応できる「全部認証工場」の事業場数が減ったことによるもので、この数年来、こうした傾向が続いている。 業態別にみると、専・兼業が7万1993工場で同207工場減(0.3%減)となり、3年連続で減少した。白書では「経営者が高齢となり、事業承継問題や人材確保難など『人』に起因する廃業が増えている」と分析した。
一方、ディーラーは1万6252工場で同72工場増(0.4%増)と3年ぶりに増加に転じた。「整備要員数も増加した。工場の統廃合による事業合理化を進める動きが一段落し、人材確保の強化を進めていると考えられる」とし、ディーラーでは整備分野の体制再構築を進めてきた成果が表れた。
指定工場は3万75工場で同92工場増(0.3%増)とゆるやかな増加が続き、統計開始以来、初めて3万工場を超えた。また、自社の保有する車両整備を主とする「自家工場」も4年ぶりに増加し、3638工場となった。

廃業が進めば地域経済にとっても大きな痛手だ(写真はイメージ)

新規・廃業の状況をみると、17年度の新規取得は1236工場で、前年度から77工場増加した。専業の増加によって、ガソリンスタンドなど兼業の事業場減少をカバーし、全体数を高めた。
廃業は1234工場。理由として「自己都合」や「事業合理化」が上位で、これらに次いで「後継者難」が199件、「工員不足」が72件となった。今後も人材不足や高齢化による影響がますます表れる見通しだ。
また、日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)は実態調査と同時に整備事業者の課題や要望事項に関するアンケート調査を実施、ディーラーや専・兼業、自家から計7020件の回答を得た。
これによると、要望事項は「整備要員の人材確保のための活動の強化」や「整備や検査に関する情報の収集と情報提供」が大多数を占める中、「事業承継のための支援」が必要という事業者が全体の10.6%(747工場)に上った。支援が必要と答えたのは、従業員数が31人以上の事業場では4.9%だったのが、2~10人の事業場では25.5%となっており、小規模(零細)工場ほど事業継続の危機感が一段と深刻になったことが浮き彫りとなった。

※日刊自動車新聞2019年(平成31年)4月19日号より