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自動車業界トピックス

新認証基準「特定整備」にらみ エーミングサポート機能の提案目立つ

変化する自動車整備への提案 第36回オートサービスショー2019 ①次世代整備

自動車産業が直面する100年に1度の大変革は整備業界に何をもたらすのか-。かつて経験したことのない環境変化が、今まさに押し寄せている。先進安全技術や新素材への対応はもとより、事業継承、人手不足、外国人人材、働き方改革など、整備事業者が取り組むべき課題が山積している。その解決に向けたアイデアやヒントが一望できる「第36回オートサービスショー2019」が16~18日に都内で開催された。大手機械工具商社の社長が「オートサービスショーは毎回、その時代時代の課題を映し、今後を先読みするためのイベントだ」と評価するように、今回も業界の課題解決に向けて様々な機器、サービスが提案された。
17日に改正道路運送車両法が成立、分解整備の新たな認証基準「特定整備」が設定された。特定整備の対象作業は、自動車整備技術の高度化検討会が今秋にも決める予定。衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全技術のエーミング(機能調整)、キャリブレーション(初期化)が対象になる見通しだ。
新しい法制度をにらみ、今回のショーではエーミング作業のサポート機器の提案が目立った。大手機械工具4商社がそろって新商品を紹介。バンザイ(柳田昌宏社長、東京都港区)は既存商品の改良型「センターサポートナビ」「マルチエイミングボード」、イヤサカ(斎藤智義社長、東京都文京区)は車両のセンター出しとターゲット設置が行える「エーミング用ターゲットスタンド」を参考出品した。
安全自動車(中谷宗平社長、東京都港区)はスケールマットとレーザーを活用した「エーミングサポートツール」、アルティア(濱﨑弘路社長、東京都江戸川区)は日産車などの位置決めにも対応する「DR.LINE」を出品。ボッシュ、マキシシスブランドの外部故障診断機(スキャンツール)を手掛けるG―STYLEも汎用エーミングサポートツールを紹介した。
エーミングやキャリブレーションと比べ「フレーム修正やホイールアライメント調整に対する重要性の認識が希薄に感じる」(車体整備業界団体幹部)との声がある。先進安全技術の実力発揮には、車体やホイールの状態を作業前後に確認することが欠かせない。クルマの進行方向を決めるスラスト角と車体中心がズレている場合、レーザーレーダーやカメラなどの検知デバイスが正常に作動しない可能性があるためだ。その一層の浸透が、確実な整備作業に不可欠となる。

特定整備の対象となる可能性が高いエーミング作業。適正なフレーム修正、ホイールアライメント調整も付帯作業として認識しなければならない

これを受けてバンザイは「トータルエイミング」と称し、入庫時の検査から空気圧確認、ボディ計測、ホイールアライメント計測、エーミング作業、試運転、故障診断に至る一連の工程すべてに対応することの重要性を訴求した。
さらにエーミング前の作業として、より高精度に、効率的に、容易にアライメント調整が行える最新機器が注目を集めた。イヤサカはハンター社の「WA670」やカメラセンサー「ホークアイHE421」などを提案。安全自動車はタイヤ位置を自動で確認できる非接触式アライメントテスター「ARGOS」を、アルティアは低コストな小型車用「Fox3D Auto Boom」、バンザイは光学式センサーを採用した「マイクロライン イージー3D」をそれぞれ出展した。
高度化した車両整備に欠かせないスキャンツールも各社が最新商品を披露した。インターサポート(坂井健一社長、茨城県水戸市)は、トップモデル「G―SCAN3」を初披露。大型モニターやQRコードによる自動車両選択機能、診断レポート作成機能を標準装備して作業支援力を高めたことを紹介した。
スキャンツールの保有は特定整備の認証基準の1つになる可能性が高い。国土交通省自動車局整備課は「少なくともスキャンツールと一定の要件を備えた整備士は必要になるだろう」とその方向性を示した。とくにスキャンツールについては2024年(輸入車は25年)から始まるOBD(車載式故障診断装置)車検もにらみ、今後もメーカー各社の商品開発が進むことになる。

※日刊自動車新聞2019年(令和元年)5月21日号より