新型コロナウイルスの感染拡大による国内生産への影響が徐々に薄まりつつある。自動車メーカーが公表した7月の国内生産見通しのうち、トヨタ自動車は当初計画に対して約1割減まで回復し、減産規模も大幅に縮小する。マツダは国内全工場で2直操業を再開し、国内生産台数は7月には前年実績比で約8割まで戻る計画。コロナ禍で停滞していた部品調達が解消に向かい、新車需要も上向きつつあることから今後も生産回復が続くと見られる。

今後、国内生産の回復は続きそうだ

新型コロナに関する緊急事態宣言が5月25日に全面解除され、販売活動が徐々に再開している。トヨタが今月17日に全面改良して発売した「ハリアー」の受注台数が好調に推移するなど、メーカーによる新車投入効果も新車需要を押し上げる。また、コロナの感染拡大に伴う部品調達網への懸念も解消に向かう。感染拡大の第2波の動きを警戒しつつも、生産調整により納期が長期化していることや新車需要が回復基調にあることなどを踏まえ、自動車メーカー各社は国内生産調整を緩和する。

トヨタの国内生産台数は、6月の約4割減から7月には約1割減まで回復する。稼働停止も全15工場28ライン中、3工場6ラインで延べ16日分(6月は延べ133日分)に縮む。「RAV4」や「ハリアー」などの人気車種をつくる工場では休日出勤を行って対応する。

日産自動車は、追浜工場で2日間、栃木工場で8日間生産を停止する。日産自動車九州は第1工場で10日間、第2工場で土曜、日曜日を除く23日間の夜勤稼働を停止し、昼のみ稼働する。栃木工場の6月の稼働停止期間は計15日間としていた。

ホンダは埼玉製作所・寄居工場で計4稼働日、同・狭山工場で1稼働日、鈴鹿製作所で計3稼働日、稼働を止める。

一部の自動車メーカーでは、部品調達の懸念が解消したことなどから、生産活動を本格化する動きも出ている。スバルは今月22日に、群馬製作所(群馬県太田市)で約2カ月半ぶりに2直体制で生産を始めた。

マツダは7月に2直操業を再開する。1日からは宇品第1、第2と防府第2工場、27日から防府第1工場でそれぞれ昼夜勤の2直操業に戻す。操業休止日を設けない。これにより国内生産台数は6月が前年比4割程度に対し、7月は8割まで戻る計画。

スズキは7月の計画を出していないが6月は2直体制に戻し生産調整をしていない。三菱自動車も7月の計画を発表していないが、6月は水島製作所の軽自動車生産ラインの稼働を2直に戻している。 

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)6月26日号より