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よくわかる自動車業界

連載 自動車業界入門 ⑬中古車

ユーザーが車を乗り替えた時に手放した車が中古車になります。手放された車は、ユーザーが次の車を購入した販売店が下取りして直接、中古車として売るケースもあります。しかし、在庫を抱えるよりも早く現金にした方が得策と考えた場合には、専門業者が車両を取引する中古車オークション(AA)の競りに出すケースが多いです。そこで取引された車は国内で販売されるばかりでなく、海外に多く輸出されています。日本の質の高い中古車は、世界的に人気が高いです。

また、ユーザーはお店で下取りしてもらうよりも高値が付くケースがある中古車買い取り店や、インターネットの個人間売買仲介サイトで売却することもできます。

コロナ禍で中古車市場への注目が高まりました。消費者の間で〝密〟を避けて移動できる車の存在価値が見直されたことに加え、他者と接触しないで済むインターネット上で、豊富な在庫の中から好みの車を検索できるためです。インターネットの普及した2000年以降、中古車のネット販売が本格化しました。

ネット販売といえども、以前は購入契約を結ぶためお店に出向く必要がありましたが、最近は来店不要で手続きを完結し、指定の場所まで購入した車を配送してもらうサービスもできました。

半導体不足で新車の納期が長期化したことも、中古車市場には追い風です。この流れを受けてAA市場は堅調です。コロナ禍の影響で新車販売が一時的に2桁落ち込み下取り車が減少したというハンデはありましたが、2020年の全国のAA成約台数は前年比6.5%減の457万2032台(日刊自動車新聞社調べ)となりました。

中古車は車両1台ごとに程度が異なり価値が違うため「一物一価」の商品と言われています。このため従来、AAで車を仕入れる際には実際に車両を見て状態を確認することが必須でした。最近は遠隔地からネットで競りに参加する人が増えており、これに呼応して画像で車両の細部を確認可能にするサービスが本格化してきました。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月12日号より