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自動車業界トピックス

自動車メーカー各社が電動化ペースアップ、販売計画の見直し相次ぐ 高まる脱炭素機運

ゼロエミッション車の投入計画前倒し

自動車メーカーが電動車の販売計画を相次いで見直している。トヨタ自動車は2030年までに電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の販売計画を200万台に引き上げた。2年前の計画と比べて倍増となる。マツダは30年のEV販売比率を5%と想定していたが25%に引き上げる。世界各国でカーボンニュートラル社会の実現に向けた機運が高まる中、EVの普及も想定以上に加速するとの見通しが強まり、ゼロエミッション車の投入計画の前倒しを迫られている。

 電動車両販売計画の見直しは、自動車メーカー各社の決算発表の場で相次いだ。

マツダの丸本明社長は30年までにEV販売比率を18年予想の5%から25%に引き上げる方針を明らかにした。EV市場が想定していたよりも早期に本格的に立ち上がる見通しとなったためで、環境戦略の見直しを近く公表する予定だ。

スバルは新たな電動車のロードマップは示さなかったものの、中村知美社長がオンライン会見で「この1年で急速に関心が高まっていることを認識している」と述べた上で、電動車の発売時期の前倒しや、電動車の展開車種の拡大を検討していく方針を明らかにした。

トヨタは30年までの電動車計画をアップデートした。各国の環境規制や再生エネルギー比率、需要性などを踏まえて地域別の電動車販売計画を初めて示した。2年前には「25年までに電動車550万台以上」としていたが、今回「30年までに800万台」とした。このうち、EVとFCVは100万台から倍の200万台に引き上げた。

トヨタはEV販売比率を引き上げるとともに、バッテリーの調達に気をかける。長田准執行役員は目標達成には「現状から30倍の(バッテリー)供給量が必要になる」と説明し、今後10年間で地域ごとの電池の調達体制を確立していく方針。

また、EV開発リードタイムは、従来車に比べて、上海モーターショーで発表した新型EV「bZ4X」で30%削減できる見通し。前田昌彦執行役員CTOは、シミュレーションなどのデジタル開発環境も強化した上で「EVを中心にさらに10%程度短縮できないかと考えている」という。

電動化目標でEVシフトを鮮明にしたのがホンダだ。従来は30年に新車販売の3分の2を電動化する計画を掲げていたが、三部敏宏社長の就任会見で、先進国におけるEVとFCVの販売比率を30年に40%、35年に80%、40年にはグローバルで100%とする計画を公表。国内自動車メーカーで初めて四輪車の全ゼロエミッション車化を宣言した。日本の30年見通しは20%と低く見積もるが、30年にはハイブリッド車(HV)も含めて電動車比率100%、24年には軽自動車のEVも投入する。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月20日号より