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自動車業界トピックス

電子車検証への記録代行、整備事業者は様子見

2023年1月のオンライン申請スタートで申請数増加に期待

国が行う「電子車検証」への記録などを代行できる「特定記録等事務」について、国土交通省は、申請受け付けを始めた5月から9月末までの累計で申請件数が157件あったことを明らかにした。このうち整備事業者は115件。全体の整備事業場数(約9万件)と比べると低い割合だが、12月末までは申請方法が紙ベースに限られていることや、実質的な記録等事務代行業務が制度開始の1年後のため、様子見の整備事業者も多いと見られる。

OSS申請と電子車検証を組み合わせれば運輸支局へ出向く必要がなくなる

国交省は、道路運送車両法を改正し、電子車検証への記録や検査標章の交付などの事務を整備事業者などが行える「記録等事務委託制度」を創設。事務手続きなどのオンライン化も進め、自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)の普及を目指している。

記録等事務代行者になると、オンラインで電子車検証に搭載されたICタグへの記録などを行える。OSS申請と組み合わせれば運輸支局へ行き来する必要がなくなり、業務の効率化が期待できる。

同制度の対象手続きは、車検時の「特定記録等事務」と、変更登録または移転登録の「特定変更記録事務」の2つ。委託対象は、特定記録等事務が整備事業者のほかに日本自動車販売協会連合会(自販連)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)、行政書士または行政書士法人。一方の特定変更記録事務は行政書士または行政書士法人となる。

国交省によると、特定記録等事務の委託申請受付件数157件の内訳は、整備事業者115件、行政書士23件、行政書士法人19件だった。自動車関連団体からの申請はまだないが、日整連や自販連では全国の支部で会員事業者に代わり業務を担う方向で検討を進めている。

制度は電子車検証の運用とともに2023年1月にスタートするが、記録等事務委託を実質的に担えるのは、電子車検証を書き換える24年1月からだ。時間的な余裕があることや「実務の詳細が判明してから申請を考える」(整備事業者)などの声もあり、様子見の事業者が大半とみられる。

国交省は、新制度の普及に向けて全国で説明会を開いている。堀内丈太郎自動車局長は28日の会見で「出席した整備事業者らからは『生産性向上を期待する』などの声をいただいている」と語った。国交省は、オンラインで委託申請を行える「記録等事務代行ポータル」を23年1月から開設する予定で、整備事業者らの利便性向上を図ることから、その後、申請が本格化する見通しだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月31日号より