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自動車業界トピックス

〈能登半島地震〉自動車業界でも安否・被害確認に全力

車検などは通常業務

最大震度7を観測した令和6年能登半島地震で、北陸地方に事業所を持つ自動車関連企業は安否や被害の確認に追われている。

北陸地方には、日野自動車といすゞ自動車が折半出資するジェイ・バス(石川県小松市)、三菱ふそうトラック・バス傘下の三菱ふそうバス製造(富山市婦中町)の生産拠点がある。いずれも3日午前中の時点で大きな被害は確認されていない。両社は8日の稼働に向けて確認作業を急いでいる。

 ジャパンディスプレイ(JDI)は、石川工場(石川県能美郡)では、1日の地震発生日は非稼働日で、3日午前までに全従業員約400人の無事を確認した。ただ、工場は地震の影響で配管が破損し、事務棟の一部で漏水も起きた。現在、復旧タスクフォースを編成し、約70人が生産再開に向けて作業に当たっている。

東芝は2日、子会社でパワー半導体などを生産する加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)の稼働を停止したと公表した。工場内の設備状況を確認中で、東芝デバイス&ストレージの本社(神奈川県川崎市)内に設置した災害対策本部と連携し、情報収集を進めている。稼働の再開時期に関しては「未定」(同社)の状況だ。日本ガイシの石川工場(石川県能美市)では、取材時点で人的被害や設備被害は確認されていない。

このほか、全日本自動車部品卸商協同組合(森川等理事長)は4日、会員の地域部品商について被災状況などの確認作業に着手した。自動車検査(車検)などについては「4日から予定どおり業務を行っている」(国土交通省北陸信越運輸局)、「通常通り業務を行っている」(軽自動車検査協会の新潟主管事務所、石川事務所)など、検査業務に大きな支障は出ていないもようだ。

警察や自衛隊などは、4日も甚大な被害を受けた石川県内で捜索を続けている。生存率が急激に下がるとされる「発生から72時間」が迫る中、安否不明者の発見に全力を挙げた。石川県などによると、輪島市で44人、珠洲市で23人が亡くなるなど、県内の犠牲者は78人に上った。県は3日夜、輪島市と穴水町で計15人が安否不明になっているとし、氏名を公表。その後10人の安否は確認されたが、4日午前、新たに珠洲市と輪島市で計20人の不明者の氏名を公表した。家屋の倒壊現場などで捜索活動が難航しており、被害の全容は依然として判明していない。

県内の355カ所に避難所が開設され、約3万3千人が身を寄せた。厚生労働省によると、石川、新潟、富山各県で発生した断水は、3日午後2時半時点で計約11万戸に上り、自衛隊などが給水支援を行っている。

石川県を中心に余震が続いており、3日は未明に珠洲市、午前に輪島市で震度5強を観測した。捜索は二次災害を警戒しながら、慎重に行われている。

齋藤健経済産業相は「(余震で)新たな停電が発生している。地面の状況が悪いこともあり、復旧にはなお時間を要する」と語った。約70のサービスステーション(給油所)も営業を停止。燃料出荷は再開したものの、支援物資輸送で道路が渋滞していることなどから、経産省の担当者は「通常通りの配送ができていない」としている。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月5日号より