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自動車業界トピックス

〈JMS2023〉日本自動車工業会 豊田章男会長に聞く

日本が元気に 未来に期待できるショーへ

 自動車業界の枠を超えるイベントとして新たなスタートを切った「ジャパンモビリティショー2023」。日本経済団体連合会「モビリティ委員会」の参加企業も加わり、出展社数は過去最高の500社弱にのぼる。従来の「東京モーターショー」と何が変わり、モビリティを軸に集った新たな枠組みでどのような未来を描くのか。主催者である日本自動車工業会の豊田章男会長に聞いた。

―モビリティショーは何が変わったのか

「今回、『東京』が『ジャパン』に、『モーター』が『モビリティ』になったが、名前だけの変化ではない。自動車メーカーのブースでは、車両スペックの説明よりもクルマを使った生活体験のようなものが表現できていると思う。自工会のブースで、例えば災害をテーマとしたコーナーでは自動車メーカーだけではなくさまざまな企業が集まり、災害復興の場面が見られるようになった。日本のモビリティ企業の協力体制があそこに凝縮されているのではないか。スタートアップの商談ルームも面白い。新しい縁、新しい未来がつくれる予感がする」

―主要先進国のモーターショーが地盤沈下するなかで新しい形を示した

「(新しい形を)初めて提示したのは前回(2019年)のモーターショーだったと思う。今回は、自工会と各自動車メーカー、ベンチャー、モビリティ委員会で集まってもらった企業、いろいろな仲間が入り、皆で作りあげた。これから自律的かつ持続的にしていくためには今回のショーがどのように評価されるか、そこにかかっている。できることなら、この新しいスタイルで日本が元気に、未来に期待できる、そんな〝後味〟を持ってもらえれば嬉しい」

―ショーは大きく変わったが新しいクルマもたくさん出てきた

「モビリティショーに変わっても、来場者の大半は『どのようなクルマでワクワクさせてくれるのだろう』という気持ちは持っていると思う。そういう方々を裏切らなかった、各社の出展には本当に感謝申し上げたい。また、クルマに興味がない人もショーに来て『クルマって思っていたけど、モビリティと考えると面白いね』と思えることも必要だと思う。そこはぜひ、自工会のブースを見てもらいたい」

―海外も含めてショーをどのように発信していくか

「(プレスデー初日の)来場者数は約8千人だった。自工会の会長としては、出展しているすべての会社や商品、サポートをしている人に注目してほしい。国内外含め、それぞれに自身で感じたものを発信されるのが一番ありがたい」

―今回集まった枠組みをどう未来につなげていくか

「従来のモーターショーの枠組みからモビリティと名前を変えた瞬間に参加できる企業が増えた結果が500社だった。ここで新たな出会い、新たな物語を進めて、それが未来づくりにつながって欲しい。自動車業界は経済波及効果が大きく、色々な産業が関わっているだけに、多くの人が集まってくるのではないか。例えばモビリティ委員会で良いコンセンサスが得られた。皆さんが言っていたのは『1社だけで未来をつくるのは限界を感じている。ただ、こうして協力をすることによって、今は回答がないが前に進める勇気をもらった』ということ。このムーブメントがモビリティ委員会をはじめとした出展社、そして来場した人々にどのような化学反応をもたらすか。そこに注目して欲しいし、私自身も期待している」

(福井 友則)

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月27日号より