1日からナンバープレートの表示や自動車点検の規定が新しくなる。ナンバーは取り付け角度やナンバーフレームなどの基準が明確化され、12カ月点検には「OBD(車載式故障診断装置)の診断の結果」の記載が必要になる。整備業に関しては2023年1月に自動車検査証(車検証)の電子化が、翌年10月には「OBD検査(車検)」が控える。急速に変わる自動車の制度や技術への対応は待ったなしだ。

 OBD点検は12カ月ごとの定期点検に加わる。緊急自動ブレーキなどの電子制御装置の性能維持が目的で、電子機器を備えた「ほぼすべての自動車」(国土交通省整備課)が対象となる。点検は目視による警告灯の確認と外部故障診断機(スキャンツール)による診断の2通りがあり、いずれも故障を見つけた際は修理する必要がある。

12カ月点検には法的拘束力や罰則がなく、19年度の国交省調査では点検実施率(乗用車)は6割だった。ただ、先進運転支援システム(ADAS)の不具合による事故は実際に起きており、整備業界には自動車ユーザーに対する周知や適切な作業が求められる。

また、1日から条件を満たさない指定工場が運行補助装置と自動運行装置を搭載する車両に保安基準適合証を交付することができなくなった。20年4月の特定整備制度の施行時点で、エーミング作業とカメラやECU(電子制御ユニット)、ガラス、バンパーの脱着と取り付け角度変更(自動運行装置を除く)のすべての作業実績がなく、「電子制御装置整備認証」を未取得の工場が対象だ。

8月末で同認証を取得した分解整備工場(認証工場も含む)は約1万9千件。約3万件の指定工場数に達しておらず「気付かぬうちに違反を犯す指定工場も出てくるのでは」(業界関係者)と懸念する声もある。経過措置(4年)の間に取得する必要がある。

OBD点検の次には〝本丸〟であるOBD車検が24年10月からスタートする。21年10月以降に発売される新型の乗用車やバス、トラック(輸入車は22年10月以降)が対象だ。検査対応のスキャンツールなどでアプリを起動し、検査車両の情報を入力すると合否が自動判定される。

また、OBD車検に先駆け、1日から自動車検査の法定手数料に自動車技術総合機構の「技術情報管理手数料」が1台当たり400円加わった。合否判定に使う故障コードの管理やシステムの運用費に充てるもので、OBD車検の対象車以外も徴収される。

国がOBD点検や検査を導入するのは自動車の技術が急速に高度化・複雑化しているからだ。人手不足が慢性化しているとはいえ、こうした車両の普及は今後も進む。クルマ社会の安心・安全を支える整備業界には、車検証の電子化で利便性が向上するワンストップサービス(OSS)などを活用して生産性を高める一方、人材や設備への投資、適切な作業工賃のあり方などハード・ソフトの両面で計画的な準備が求められそうだ。