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自動車業界トピックス

中小企業庁調査、エネルギーコスト上昇で苦しむ中小

2割超が価格転嫁できず

エネルギーなどのコスト高が中小規模の自動車関連企業の経営をひっ迫させている。中小企業庁が行った調査によると、2割以上の中小企業が直近6カ月間のコスト上昇分を取引価格に転嫁できていないと回答した。中でもエネルギーコストと労務費の上昇分に関しては、3割以上が自社で吸収しているとした。コスト増に対する転嫁率では、全27業種のうち自動車関連業は17位と平均以下だったほか、トラック輸送業は最下位となり、自動車産業全体の意識改善が早急に求められる。

 直近6カ月間のコスト上昇を、発注企業との取引価格に一切転嫁できなかったと回答した中小企業は全体の22.6%となり、2月に公開した前回調査と比べて約1㌽増えた。また、価格転嫁率が「10割」と回答した企業は前回調査では約23%だったのに対し、今回の調査では約14%にとどまるなど、受注側企業の負担が増えている傾向が浮き彫りとなった。

ガソリンや電気などのエネルギーコストの上昇も中小企業の経営に影を落とす。回答企業の約33%がエネルギーコスト分を価格転嫁できていないと回答した。この傾向は自動車関連業で顕著で、転嫁率は全27業種中、自動車・自動車部品業が25位、トラック輸送業が27位だった。「燃料価格高騰が激しいため燃料サーチャージ制導入を依頼したが断られた」(輸送事業者)、「転注・発注減を匂わされ、交渉の申し入れ自体を躊躇している」(別の輸送事業者)など、発注企業が価格交渉に応じないケースが散見された。

一方、原材料費に関しては、自動車・自動車部品業の価格転嫁率は全業種中4位となった。自動車の生産に直結する部材や素材の高騰に関しては比較的価格交渉を行いやすい状況にあることが分かった。

20日時点の全国レギュラーガソリンの全国平均価格は1㍑当たり173.9円となり3週連続で値上がりしたほか、大手電力会社が化石燃料の高騰を理由に電気料金を相次いで値上げしており、エネルギー価格の高騰は当面続くとみられる。〝見えないコスト〟をどこまでサプライチェーン(供給網)全体で相殺できるかが今後の自動車産業全体の成長を左右する。

この調査は4~6月にかけて実施し、中小企業約2万5千社から回答を得た。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月24日号より