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自動車業界トピックス

国交省、「共創型交通」で地域課題解決

全国15事業を選定

国土交通省は、交通事業者と他分野の事業者が産業の枠組みを超えて取り組む「共創型交通」の形成を後押しする。複数の主体が連携して交通を軸とした地域課題の解決を目指す全国15事業を選定した。実証運行などへの予算補助や運輸局によるアドバイスなど実地伴走型の支援を展開する。地域に密着した多様な事業者が連携して交通サービスのマネジメントに関わることで、持続可能な新たな移動サービスの創出や地域経済の活性化などにつなげていく。

 国交省は3月から、アフターコロナ時代を見据えた地域交通のあり方を検討する有識者検討会を定期的に開催。4、5月に「共創モデル実証プロジェクト(共創による地域交通形成支援事業)」を公募・審査し、選定した全国15事業を30日に発表した。

国交省が提案する共創モデル実証プロジェクトとは、交通を地域の暮らしと一体として捉えた上で「医療×交通」「農業×交通」「介護×交通」など地域の暮らしに関わる各産業が一体となって地域交通を支える仕組みづくりである。

採択事業には、補助対象経費の3分の2(上限2千万円)を補助する。運輸局では実証運行などへの助言や地域への周知活動などを適宜展開する。これらは主に立ち上げ支援となるが、自治体や地元金融機関も連携して事業に関与する。

人口減少や少子高齢化、都市構造の変化など従前の社会課題に加え、コロナ禍で移動需要は大幅に減少。交通事業者の経営悪化と、それに伴う路線廃止などによるサービス水準の低下で、さらに利用者が減少する「負のスパイラル」を避けられず、地域社会や住民サービスへの影響も大きい。

交通事業者が独立採算を前提として存続することは、これまでにも増して困難になりつつある。そうした現状と地域交通が果たすべき役割も踏まえながら、国交省では官民や分野に捉われない地域コミュニティーが一体となった「共創」を交通分野で進展させていくことが課題解決に向かう一つの道であると示した。

従来型交通から共創型交通への転換には「地域コミュニティーの構成員が交通を自分ごとと捉えて、交通サービスの価値を最大化する機運を醸成することも重要」と、有識者検討会のメンバーは話す。共創による地域交通は「官民」「交通事業者間」「他分野を含めた」それぞれの観点で展開できるとし、国交省は今後も引き続き関係事業者や有識者らと検討を進めて新たな支援策などの実現につなげていく。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月2日号より