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自動車業界トピックス

国交省、「走行中ワイヤレス給電」「FCV燃費評価」「合成燃料実用化」

今年度から調査研究に着手

大型FCトラックやバスには国際的な燃費試験法がない

国土交通省は、「次世代大型車開発促進事業」で、新たに「走行中ワイヤレス給電システム」「大型燃料電池自動車(FCV)の燃費評価」「合成燃料(eフューエル)の実用化」の調査研究に今年度から着手する。大型トラックやバスは生産台数が少ない上、人や荷物を積んで長距離を走るため、乗用車より電動化が難しい。国交省は開発支援を通じ、大型車のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)化を後押ししていく。

走行中のワイヤレス給電は、大型車を想定した複数の受電コイルを搭載したシステムの設計・構築を目指す。受電効率のほか、他の金属部品に対する影響や漏洩電磁界などの評価も行う予定だ。東京理科大学が調査研究を担う。

大型FCVの燃費については国際的な試験法がなく、国交省が試験法を年内にも策定する見通し。来年度中には既存の大型車用シャシーダイナモで大型FCVを評価できるよう、水素供給設備などを導入する。実車を用いて燃料電池スタックに供給される水素流量を測定する「流量法」による測定や検証を行う予定だ。

将来的には、FCVを含むハイブリッド機構を備える車両の燃費評価で用いられる「HILS法」や「パワートレイン法」を実施できるテストベンチの導入も視野に入れて試験法の精緻化を進める。同研究所と日本自動車工業会で実施する。

eフューエルの実用化に向けては、排出ガス性能への影響や、部品劣化の影響などを調査する。セタン価(ディーゼルエンジンの着火性を表す数値)や蒸発特性の違いを生かした高効率燃焼の可能性も探る。

この事業は現在、第5期として2019年度から開始し、23年度までの5カ年計画で運営している。既存の研究テーマには「SCR触媒システムの高機能化」や「天然ガスエンジンにおけるノッキング発生メカニズムの解明」などがある。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月30日号より