生産再開は徐々に進んでいるが…

ダイハツ工業による認証不正を踏まえ、国土交通省が1月から実施している基準適合性の確認試験の完了時期が、最長で6月までずれ込む見通しとなった。これまでに確認を済ませたのは全体の4割に当たる21車種にとどまる。量販車種の「タント」や「ロッキー/ライズ」のハイブリッド車(HV)の販売再開が見通せないうえ、新型「ムーヴ」の発売時期にも影響しそうだ。

国交省関係者が明らかにした。同省は当初、確認対象45車種(生産終了18車種を含む)のうち、少なくとも現行生産車27車種については今年3月末までに確認試験を終えたい意向だったが、対象車種の多さに加え、1車種あたりの確認試験項目が複数あることや、

立ち合い試験に必要な人員や設備の確保が難航している。ダイハツによる第三者委員会によると、2023年4月のドアトリム不正、5月のポール側面衝突試験不正に加え、25の試験項目で174件の不正行為が確認され、国交省の立入検査で、さらに14件の不正が判明している。

今月22日時点で確認試験を終えたのは21車種(生産終了3車種を含む)。国交省は基準適合性を確認しだい、生産・出荷停止指示を解除しており、ダイハツは受託生産するトヨタ「プロボックス」とマツダ「ファミリア バン」は今月12日から、「ミライース」など10車種は26日から生産・出荷を再開した。「ロッキー」「ライズ」のガソリン車は3月4日以降の生産に向けて調整中だ。インドネシア子会社のアストラ・ダイハツ・モーター(ADM)で生産する「グランマックス」のバンタイプなど3車種については、モデル末期のため1月末から生産・受注を停止した。

残る9車種とエンジン1機種について、国交省は自動車技術総合機構や日本自動車研究所(JARI)に加え、ダイハツなどが持つ試験設備も使って確認試験を急いでいる。ただ、専門知識を持つ人員に限りがあるうえ、他社の型式指定審査なども同時にこなす必要があり、完了時期が想定よりずれ込んでいる。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月27日号より