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自動車業界トピックス

国交省、園児置き去り防止安全装置 ガイドラインを年内公表

メーカーなどへのヒアリングで利点や課題を精査

国土交通省は、送迎用バスの園児置き去りを防止する安全装置のガイドライン策定に向けて、装置メーカーなどへのヒアリングを今週から始めた。各方式の利点や課題などを考慮して、12月半ばにも装置のガイドラインを公表する。政府は国交省のガイドラインを踏まえて財政措置などを手当てし、2023年6月末までにこうした安全装置の装着を目指す。

園児らの置き去り対策を車両面からも急ぎ進める

岸田文雄首相は17日の衆議院予算委員会で、子どもの安全対策支援を総合経済対策に盛り込むとともに、義務化する安全装置は「事業者の負担が実質的にゼロになるよう財政措置を講じる」と語った。登園管理システムや子どもの見守りタグなどの導入費用も支援し、子どもの安全対策に万全を期す考えだ。

車両安全装置のガイドラインづくりを受け持つ国交省は、自動車関連団体や有識者で構成するワーキンググループ(WG)を今月4日に設置。置き去りを回避する安全装置を開発または販売中の装置メーカーなどに対するヒアリングを今週から始めた。

安全装置は、車内に園児が残っていないかを運転手が確認した後に解除する「押しボタン方式」と、カメラなどで車内の園児置き去りを監視する「自動検知方式」に大別される。いずれも確認ボタンの解除またはエンジン停止後に園児が取り残された場合、車外に警報を発報などして外部に知らせる仕組みだ。

送迎バスに特化した装置ではないが、車内への置き去りを防ぐ安全装置は、海外でも基準化や法制化が進む。欧州の自動車アセスメント(ユーロNCAP)では「子ども置き去り防止装置」が23年から乗用車の評価対象として加わる。米国では、乗用車は停止後に後部座席を確認するよう運転者に警告するシステムの装備を25~26年に義務付ける予定だ。韓国は、幼稚園バスに押しボタンなどを設置することを19年から義務付けている。

国交省では、こうした安全装置を「ヒューマンエラーを補完する安全装置」と位置付ける。あらゆる場面で車内への置き去りを完全に防ぐことを保証する安全装置は現時点で存在しないとの認識だが、政府方針を踏まえ、送迎バス用のガイドラインづくりを急ぐ。

岸田首相は「(ガイドライン策定後は)できるだけ早期にガイドラインを満たす製品の準備ができるよう、設計・製造事業者を促していきたい」とも述べた。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月19日号より