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自動車業界トピックス

国交省、相次ぐ型式指定制度不正で各社に調査・報告を指示へ

全ての自動車メーカーとインポーター対象に 行政指導や監査も

日野自動車やダイハツ工業などで相次いだ型式指定制度に絡む不正を踏まえ、国土交通省は、全ての自動車メーカーとインポーター(輸入業者)に同制度に関する社内体制の実態調査と報告を求める方針を明らかにした。過去の燃費不正などを教訓に制度を見直してきたが、不正が止まず、制度の信頼が揺らぎかねない事態を重く見ている。メーカーなどからの報告を詳細に分析し、必要に応じて行政指導や監査に踏み切る考えだ。

型式指定制度への信頼が揺らいでいる

実態調査の範囲や対象などを詰め、日本自動車工業会(豊田章男会長)、日本自動車輸入組合(上野金太郎理事長)の会員各社に近く指示する。主に社内の開発や認証、試験部門などについて、組織体制や具体的な業務内容などを調査し、指示から1カ月後に報告を求める意向とみられる。

同制度には主に量産車が対象の型式指定制度、商用車を想定した「共通構造部型式指定制度」、「輸入自動車特別取扱制度」などがある。国交省としては、こうした制度の試験や申請に関わる業務やチェック体制などを各社に改めて確認させ、自主的な見直しにつなげる狙いもある。堀内丈太郎自動車局長は「立て続けに起きている不正問題の要因には共通点もあるので(自動車メーカー各社に)警鐘を鳴らす必要もある」と語った。

国交省は、過去に起きた燃費不正などを教訓に型式指定制度を厳格化したり、罰則を強化したりしてきた。現在は自動車技術総合機構の職員による抜き打ちでの試験立ち会いや、不正を行ったメーカーに対する審査の厳格化や型式指定の取り消しなどを実施している。昨年9月には日野自動車の不正を踏まえ、排出ガスの長距離耐久試験と燃費試験に関する監査・審査も厳格化した。

それでも不正が後を絶たないことから、あらためて各社に調査を求め、報告内容に基づいて行政指導や監査を行うことにした。開発・型式指定申請プロセスに関する監査(プロセス監査)なども強化していく考えだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)5月29日号より