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自動車業界トピックス

国交省が自動車整備技術検討会の中間報告 一、二級の役割明確化

電子制御装置高度化に対応

国土交通省は、「第23回自動車整備技術の高度化検討会」を開き、自動車整備士の資格制度などの見直しについて中間報告を取りまとめた。新たな資格制度では一級が自動車検査員、二級が整備主任者を担うようにし、一級と二級の役割の違いを明確にする。現在は一級大型、二級ガソリンなどと細かく分かれている資格を二輪を除き、一級整備士、二級整備士などに統一する。電子制御装置の搭載など自動車の高度化が進む中、制度を見直し高度な人材の育成につなげる。2022年4月の省令公布、27年の施行を目指す。

検討会は整備士養成施設の関係者や研究者などで組織し、議論を重ねてきた。国交省自動車局整備課の担当者は電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などの流通拡大にふれ、「すでに電子制御装置が多くの車に採用されている。広く深い知識を身に付けることで、さまざまな整備のニーズに対応できるようになってもらいたい」と見直しの意図を説明する。

制度の見直しにより、自動車検査員となるには基本的に一級資格を取得していることが条件となる。現在の二級資格を持っている人は自動車検査員教習を修了した場合に限り検査員となることができる。車の高度化が今後さらに進むと見込まれる中、国交省は他の級と比べて専門性が高い一級整備士を増やしたいと考えており、「現在の制度では一級も二級も役割があまり変わらないが、それぞれの役割を明確にすることで一級の魅力を向上させたい」と話す。

一級と二級の役割を明確に分ける一方、三級の役割は現在のままとする。整備士不足が課題となる中、整備士への入口として三級の資格を気軽に目指してもらう考えだ。

現在の制度では一級が大型、小型など、二級はガソリン、ジーゼル、シャシなどに分かれているが、それぞれ一級整備士、二級整備士に統一し、幅広い整備に対応できる人材の育成を目指す。二輪に特化した事業所もあることから、二輪単独の資格を設ける。

養成施設に対しては、制度変更の狙いや新しい制度の内容を丁寧に説明し、教育カリキュラムの中に電子制御装置関係の内容を多く盛り込んでもらう考え。一級の実技試験では、独立した口述試験を廃止し、実技試験の内容の中に口述試験の要素を含める。

自動車整備技能登録試験日と合格発表日の見直しも行う。試験日を2週間程度前倒しし、3月中に合格発表を行うように変更する。

すでに整備士資格を取得している人は、27年以降も資格の名称は現在のままとし、電子制御装置整備に関する講習を受講すれば見直し後の資格と同等のものになるようにする。制度変更にあたりパブリックコメントも実施する。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)12月9日号より