中長期的な整備人材の確保にもつながると期待される

外国人の技能実習制度に代わる「育成就労制度」に関する政府の見直し案がこのほど、自民党の外国人労働者等特別委員会で了承された。現行制度で原則、認めていない外国人技能実習生の転職(転籍)要件を緩和し、同一企業で「1~2年間」の就労期間を経れば本人意向による転籍ができるようにする。一方、転籍に伴う日本語能力の要件は厳格化する。今後、関係閣僚会議を開いて正式決定し、今国会に関連法案を提出する方針だ。

外国人の技能実習制度と特定技能制度のあり方を議論してきた有識者会議が昨年11月末にまとめた最終報告書をもとに、与党内の意見や提言なども踏まえながら政府が見直し案をまとめた。

途上国に人材育成を通じて国際貢献することを目的とした外国人技能実習制度を廃止して「人材確保・人材育成」を狙いとする育成就労制度とする。基本3年間の就労を通じた育成期間で「特定技能1号」の技能・知識水準に育成することを目指す。

育成就労制度では、一定の要件を満たせば、同一分野内に限って本人の意向による転籍を認める。「やむを得ない場合」の転籍の範囲を広げつつ明確化し、手続きも柔軟にする。

見直し案では、転籍を認める条件になる就労期間について、当面は業種ごとに同一企業で1~2年間の範囲内で定めることを可能とした。有識者会議の最終報告書では同一企業で「1年超」としたが、自民党からは「就労期間が短く、業種によっては育成につながらない」「地方から(給与水準が高い)都市部への人材流出が懸念される」などの慎重意見があったことを踏まえた。ただし、将来的には1年を目指す方向だ。

転籍を認める要件とした日本語能力の水準についても、有識者会議で示した「A1相当以上の試験(日本語能力試験N5など)合格」を、見直し案では「A1相当からA2相当(同N4など)合格」の水準に引き上げる。特定技能1号を取得するにはA2相当以上であることが求められる。業種ごとに求める日本語能力水準を定めて試験する。

外国人労働者を悪質なブローカーなどから保護する観点で、転籍の支援は非営利の監理団体やハローワークなどに限り、民間の職業紹介事業者の関与は当分、認めない。監理団体に対しては、新たな許可要件に基づいて厳格に審査を行う。

特定技能1号の資格を取得すれば、さらに最長5年間、働くことができる。高度な知識や技能の習得が求められる「特定技能2号」の試験に合格すれば、在留資格の更新回数の制限はなくなり、長期就労と家族帯同が可能となる。

自動車整備業は昨年6月、特定技能2号の対象分野にも追加され、中長期視点に立った整備人材の確保につながるとして期待が高まっている。今後は、育成就労制度への対応を整備業界全体で整えることに加え、外国人材の定着率をいかに高めていくかも課題になりそうだ。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月7日号より