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自動車業界トピックス

政府、総合経済対策の重点事項 電動化などGXへの投資拡充

インフラ整備や国内蓄電池製造支援

政府は4日、月内に策定する総合経済対策の重点事項を取りまとめた。企業間・産業間の労働移動円滑化やリスキリング(学び直し)をはじめとする「人への投資」策を拡充する。来春の賃金交渉については、現下のコストプッシュ型物価上昇をカバーする賃上げを目標とした労使間の議論を提案した。自動車の電動化に向けた包括的な支援などを盛り込んだグリーントランスフォーメーション(GX)への投資も拡充する。2022年度第2次補正予算案と23年度税制改正に反映させる。

新しい資本主義に向け、早期に実施する必要がある重点事項を総合経済対策に具体化

同日に総理官邸で開いた「第10回新しい資本主義実現会議」で、総合経済対策の重点事項案を決定した。6月7日に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の決定事項のうち、早期に実施する必要がある重点事項を総合経済対策に具体化して反映したものだ。

構造的な賃金引き上げを目指す上での短期的な取り組みとして、来春の賃金交渉で物価上昇をカバーする賃上げを目標にした労使間議論を提唱した。政府関係者は「いろいろな議論が出ることは予想している」と織り込み済みだが、「物価上昇に賃金が追い付いていく必要がある」と話す。

中小企業の賃上げが可能となる取引環境を整備する。原材料価格などコスト上昇分の取引価格への反映について、下請企業と協議することなく取引価格を据え置くことなどを不適切な対応とし、多数の下請企業に行っていたり、過去に繰り返し行っている事案については、企業名を公表する。

非正規雇用労働者の待遇の根本的改善を図るため、厚生労働省の都道府県労働局だけでなく、全国の労働基準監督署においても、新たに同一労働同一賃金の順守を徹底する。

中長期の構造的な賃金引き上げを進めていくために労働市場の改革も進める。キャリアアップのための転職について民間の専門家に相談し、転職するまで一気通貫で支援する仕組みを整備する。個人のリスキリングに対する公的支援など人への投資策の予算は、現状の3年間で4千億円から5年間で1兆円に拡充する。

企業に対して賃金制度を含めて労働移動円滑化の取り組み状況の開示を奨励する。労働移動を受け入れる企業、副業に人材を送り出す企業または副業の人材を受け入れる企業を補助する支援策を設ける。副業の環境整備のため、副業を認めている企業の公表も行う。年功制の職能給から日本に合った職務給への移行を個々の企業の実情に応じて進めるなど、企業間・産業間の労働移動円滑化に向けた指針を来年6月までに策定する。

脱炭素に向けた経済・社会・産業構造改革の道筋を示した「クリーンエネルギー戦略中間整理」に基づき、年内に今後10年のロードマップを取りまとめる。グリーンイノベーション基金については、水素、アンモニア、カーボンリサイクルなどの分野の技術開発を推進するため拡充を図る。

自動車の電動化に向けて、電動車購入やインフラ整備、蓄電池の国内製造立地推進、中小サプライヤーの業態転換の包括的支援を行うことを盛り込んだ。30年までに充電インフラ15万基、水素充填インフラ1千基、35年までに乗用車の新車販売で100%電動車とする目標実現を目指す。

5G(第5世代移動通信システム)法の認定を受けた先端的な半導体の工場建設の支援について、メモリ半導体など今後さらなる支援が必要となる案件を見据え、予算など支援策を拡充することも決めた。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月5日号より