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自動車業界トピックス

政府の2022年度概算要求、電動車・インフラ補助金 増額も物足りなさ残る 

自動車業界は政策の拡充求む

 2022年度予算案の概算要求が31日に出そろった。電動車やインフラ向けの補助金要求は前年度に比べて倍増し、電動車シェアリングを支援する経費も新たに追加された。ただ、補助制度の枠組み自体に大きな変更はなく、今年末の税制改正でも自動車は抜本的な見直しが見送られそう。「2035年までに新車(乗用車)販売で電動車100%を実現する包括的な措置」と比べると小粒感は否めず、政策の拡充が求められる。

経済産業省は、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)や充電インフラ向け「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入事業費補助金」として今年度(約155億円)の2倍となる約335億円を要求した。補助条件は変わる可能性もあるが、同省によると補助台数は約6万台、充電器は約2千基の見込みという。水素ステーション(ST)向けは110億円と今年度と同額だ。

国土交通省は、バスやタクシー、トラックなど事業用自動車向け「地域交通のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進」として今年度の約1.8倍となる8億5千万円あまりを求めた。

補助要求額は積み増しされたが… (写真はイメージ)

電動車に関しては環境省も補助の枠組みを持つが、補正予算枠を活用していることもあり、今回は要求に盛り込まなかった。その代わり、公用車や社用車として導入されているEV、PHVをカーシェアとして活用する事業を支援する補助制度を新設する。自治体や企業の支援策として10億円を要求した。

総じて従来の政策経費を積み増した形の要求となったが、採算が合いにくい軽自動車からトラックまで電動化を進める政府方針を踏まえると物足りなさも残る。要求額を倍増させたCEV補助金にしても、過去には400億円以上を手当てした年もあった。電池開発支援の予算要求額は28.8億円と、今年度予算のわずか2割増だ。

日本自動車工業会は電動車の開発や普及に向け、補助金の増額や税制の見直し、車両や水素STの追加的な規制緩和を政府に求めている。政府が電動車普及のマイルストーンとする30年から35年に向け、政策の見直しや拡充が求められそうだ。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)9月1日号より