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自動車業界トピックス

日整連調査、電子制御装置整備認証未取得事業者のスキャンツール保有7割

設備投資の負担が障壁になる可能性も

電子制御装置整備の認証取得に向けた支援はまだまだ必要となりそうだ。日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)がまとめた2020年度の「自動車整備白書」によると、電子制御装置整備の認証が未取得の事業場のうちエーミング(機能調整)作業に必要な外部故障診断機(スキャンツール)を保有する割合は7割弱にとどまった。15年度の調査よりも保有率が低下しており「既存のスキャンツールではエーミングに必要な性能および機能を満たさない」(日整連)事業場が一定数ある。認証取得に前向きだとしても、設備投資の負担が障壁になる可能性は拭いきれない。

エーミング作業に対応したスキャンツールが欠かせない

20年6月末までに電子制御装置整備の認証が未取得の8129事業場(専・兼業4623、ディーラー3063、自家443)の回答をまとめた。そのほか、水準器とターゲットがともに約4割の保有率で、いずれも保有しない割合は約3割だった。電子制御装置整備の認証を「申請済み」または「取得したい」と回答した割合が約8割と前向きな事業場が多い中で、設備投資には様子見の姿勢がうかがえる。

業態別では作業機械の保有状況に大きく差が開いた。いずれの作業機械もディーラーの保有率が最も高く、専・兼業、自家と続く結果になった。特にスキャンツールはディーラーの保有率が9割以上に上った一方で、専・兼業が5割強、自家が4割弱にとどまる。特定整備を含む改正道路運送車両法が施行する前に電子制御装置整備に相当する業務を行っていたディーラーが9割以上いたこともあり、必然の結果だと考えられる。

こうした状況を踏まえると、電子制御装置整備の認証取得促進には設備投資への一層の支援が求められそうだ。認証を「取得しない」と回答した事業場の中には資金的な要因を挙げる割合も少なくない。認証工場では既存の作業場を電子制御装置整備に使えるケースも多いため、設備投資の面では作業機械が中心になると考えられる。その中でもスキャンツールに対する支援は今後も注目されそうだ。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月15日号より