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自動車業界トピックス

日本とASEAN域内の企業、サプライチェーンのデータ連携

温室効果ガスを可視化

経済産業省は、日系企業と東南アジア諸国連合(ASEAN)域内の企業がサプライチェーン(供給網)でデータ連携する環境を整備する。まず部品などの供給網が断絶するリスクと、温室効果ガス(GHG)排出量の両方を可視化することに重点を置いて具体化していく。国内の自動車メーカーはASEAN域内から調達している部品が多く、製造業全体の貿易額では中国に次ぐ規模だ。日本とASEANの地域間でデータ連携を進めることで、サプライチェーンの強靭化を図る。

カーボンニュートラル対応や、計画通りの生産には、サプライチェーンの各企業が保有するデータを正確に流通する仕組みが求められる。経産省は先行事例や企業へのヒアリングを踏まえ、データ連携が必要なユースケースとして29の事例を選定した。このうち、特に重要なサプライチェーンが断絶するリスクとGHG排出量を可視化するのに優先的に取り組むことにした。

ASEAN域内では、デジタル環境が未整備な地域があり、インフラや貿易ルールに関しても統一された基準がない。このため、ASEAN各国の固有の事情も踏まえた制度設計を進める。

GHG排出量の可視化は、欧州連合(EU)でライフサイクル全体でのGHG排出量を可視化するカーボンフットプリント(CFP)表示が義務付けられる見込みで、ASEAN域内からEU向けに部品を輸出する際に対応を迫られる。このため、国際水準のデータ連携基盤を確立していく。

日本との貿易額に占める国別のシェアは中国が20%超でトップ。次いでASEANが15%となっている。地政学上のリスクの観点からも調達先としてのASEANの重要性は高まっている。ただ、中国や欧米などもASEANからの部材の調達網を構築している。ASEAN地域での日本の優位性を保つためにも、サプライチェーンのデータ連携するプラットフォームを構築する環境の整備を急ぐ。

経産省では今後、有識者などで構成する研究会で議論し、来年1月にとりまとめ案とロードマップを策定する予定。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月18日号より