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自動車業界トピックス

東京工科自大、人材育成・採用支援を事業化

教育ノウハウを活用 整備士不足にも貢献

東京工科自動車大学校を運営する小山学園(山本匡理事長)は、企業の人材育成課題解決や人材採用のサポートといった事業を加速する。少子化や若者の車離れによって自動車整備士の成り手が減少傾向にある中、専門人材を輩出してきたノウハウに加えて、企業や高校と連携してきた実績を生かし、新事業に取り組んでいる。

住友商事パワー&モビリティの社員が受講した実習の風景

同学園は2023年度から、業務遂行に必要な専門知識を学べる企業向け研修プログラムの提供を本格的にスタートした。主なターゲットは、自動車に携わったことのない学生を採用した自動車関連企業や最新技術に対応した自動車整備士の育成に励む企業。新人研修として活用するケースが多い。

自動車の知識に疎い新人に向けた研修プログラムでは、座学と実習を通じて1年点検の内容を把握することを目標に据える。依頼した企業が取り扱う車種や車両に特化するのではなく、自動車の基礎知識を学んでもらう。同学園の影山裕介広報本部長・成長戦略推進本部長は「各企業が社内で取り組むOJT(職業内訓練)などが始まる前に基礎知識を学ぶ場として活用してもらうことを想定している」と話す。

また同学園では、高専連携事業を推進していくことで採用チャンネルを構築し、提携企業の人材採用を支援するといった取り組みも進めている。同学園と連携する高校では、自動車業界への興味、関心や提携企業の認知度を高める活動を展開している。高校卒業後に、同校への進学希望者が提携企業の企業奨学生として入学するだけでなく、就職希望者が提携企業先に入社するといったケースも増やし、採用スキームの選択肢の拡大を狙う。

新事業に取り組むに至った契機は、19年に創立50周年を迎えたこと。次の50年を見据えてヒューマンリソース(HR)事業を計画していた際に、同学園の110社を超える後援会企業にアンケートを実施した。その結果、人材教育や採用に悩む企業が多いことが判明し、21年に立ち上げた。

影山本部長は「今まで培った教育のノウハウと企業との連携が深いことが強み。人材育成と採用支援の二本柱で事業を進めていく」と語る。その一方で、同校が持つ教育のリソースが限られているといった課題もあるという。

そこで、同学園では、文部科学省の「専門職業人材の最新技能アップデートのための専修学校リカレント教育推進事業」に採用されたことを受け、e-ラ―ニングの開発に着手している。座学の内容をオンラインで受講することが可能となり、実習だけ同校で受講するといったことも実現する見込みだ。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月26日号より