前後輪をモーターアシストする「AWD自転車」は来場者から高い関心を集めていた

健康志向や環境負荷の少ないモビリティとして自転車への注目が高まっている。免許の要らない単なる移動手段から、電動化や高性能化など付加価値を高めた高価格帯の自転車の需要も伸びている。これを受けて自動車メーカーやサプライヤーも自動車で培ってきた技術力を生かした提案を積極化しており、新たなビジネスの可能性を模索している。

6、7日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されたスポーツ自転車の展示会「CYCLE MODE TOKYO 2024」(主催=サイクルモード実行委員会)は、製品展示のほか、試乗コースを設定するなど最新の自転車を体感できるイベントだ。自転車メーカーやアウトドアメーカーに混ざって、自動車メーカーやサプライヤーもブースを出展していた。

電動アシスト自転車を販売するなど自転車ビジネスの歴史が長いヤマハ発動機。今回のイベントでは、ジャパンモビリティショーに出展したコンセプトモデルのMTBタイプの電動

自転車ファンで賑わっていたジェイテクトのブース

自転車「Y―00Z MTB」と、両輪を電動アシストする「Y―01W AWD」を展示。両輪の電動アシスト車は、前輪にインホイールモーターを採用する2モータータイプで、全輪駆動方式の自転車として来場者の関心を集めていた。

二輪車向けの電動アシストユニットを手掛けるホンダもブースを構えた。ホンダモビリティソリューションズ(鈴木聡社長、東京都港区)が今年1月から開始した電動自転車のサブスプリクションサービス「EveryGo e-Bike」をアピールした。

同サービスは、スポーツバイクに電動ドライブユニットを搭載した「eバイク」が利用できる。購入すると高価なeバイクが、同サービスでは最短1カ月、月額9900円から利用することができる。1月から東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏でスタートした。今後は首都圏以外にも順次エリアを拡大していく。

ホンダブースでは1月にスタートしたe-Bikeのサブスクを紹介した

軸受けなど精密部品に強みを持つジェイテクトは、競技用などハイエンド自転車向けの部品を紹介した。

ロードバイクのホイール用に専用開発したベアリング「ONI BEARING」シリーズは、東京オリンピックに出場するチーム向けのロードバイク開発に携わったのがきっかけで誕生した。独自のボールセラミック技術を生かし、耐久性を重視したステンレスのレースと、専用開発の潤滑油を使用。圧倒的に抵抗の少ない回転性能を特徴としている。ホイール用の軸受けとし2個1組、前後で4個使用する。交換工賃を含めた価格は12万円前後という高級品だ。

今回新たに追加したクランク部分に使用するボトムブラケット用は、自動車のターボチャージャー用ベアリングで使用するセラミックボールのベアリング技術などを基に開発した専用品。ペダルにつながるクランク部分に2個使用し、交換工賃を含めた価格は7万5千円前後の見込みという。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月13日号より