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自動車業界トピックス

消費者庁、内部通報制度を見直し 2割が「後悔」

制度の認知は半数 実効性向上へ検討会

内部通報制度の認知度や実効性を高める(イメージ)

消費者庁は、公益通報者保護法に基づく「内部通報制度」を見直す。同庁の調査によると、回答者の半数が制度を「知らない」などと答え、通報者の2割弱が「後悔している」と答えた。同庁は検討会を設け、内部通報制度の認知度や実効性などを高めるための具体策を議論する考えだ。

内部通報制度は、社員などから勤務先の法令違反に関する相談や通報を受け付け、調査の上で是正する制度。2022年6月の改正公益通報者保護法により、従業員301人以上の企業に体制整備が義務づけられている(300人以下が努力義務)。

 消費者庁が就業者1万人(有効回答)に調査したところ、制度について「よく知っている」「ある程度知っている」との回答は全体の約4割にとどまった。大手企業ほど「よく知っている」の回答割合は上昇するが、従業員5千人超の企業でも約5割は「名前は聞いたことがある」「知らない」と答えた。内部通報窓口の設置を知った人のきっかけは「社内研修・説明会」が最も多かった。

勤務先で重大な法令違反を知った場合、全体の約6割が勤務先や行政機関などに「相談・通報する」「たぶん相談・通報する」と回答した。一方で、相談・通報しない理由には「誰に通報したらよいか分からない」が最も多く、次いで「勤務先が適切に対応してくれないと思う」「嫌がらせを受ける恐れがある」などが続いた。通報経験がある人は7割近くが「相談・通報して良かった」と答えた半面、2割弱(17%)が「後悔している」と答えた。後悔の理由は「通報しても調査や是正が行われなかった」「人事異動や評価、待遇面などで不利益な取り扱いを受けた」などだった。

消費者庁は1月19日、ダイハツ工業の認証不正問題を受け、同社に対して公益通報者保護法に基づく行政指導を行った。内部通報体制の見直しや6カ月をめどに運用状況の報告を求めた。同社の第三者委員会によると、同社の内部通報制度は一定程度機能しているものの「会社の対応を見える化するなど、同制度の信頼性を向上させる取り組みが必要」と指摘した。消費者庁はこうした不正事例や調査結果を踏まえ、内部通報制度の見直しを進めることにした。

 

【用語解説】公益通報者保護法

従業員が勤務先の不正行為を通報したことを理由とする、解雇や降格、不自然な異動などの不利益な取り扱いから保護されるための条件を定めたもの。2022年6月施行の改正法で、従業員が301人以上の事業者に内部通報窓口の設置と内部規定の策定などを義務づけた。同法上、保護対象となる通報者の範囲は、従業員(派遣社員やアルバイトなども含む)、役員、退職者(退職して1年以内の従業員)。公益通報の対象となる通報先は、勤務先、行政機関、報道機関とする。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月6日号より