道路運送車両法の改正に伴い、1日から特定整備制度がスタートする。その背景には、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシストなど先進安全性能を装備した車両が増え続けていることがある。今回の法改正では、そうした車両の整備に対応するのが狙いだ。特定整備の影響は分解、車体整備だけでなく、カー用品や中古車業界にも波及する可能性もある。

特定整備の標識は若草色(イメージ)

1日の道路運送車両法施行に伴い、自動車分解整備事業は一律で自動車特定整備事業に変わる。特定整備は今後登場する自動運転車の点検整備も見据えたもの。前方監視用のカメラやセンサーのエーミング(機能調整)作業を行うための新たな認証資格「電子制御装置整備」が導入される。

特定整備の認証パターンは以下の3通り。(Ⅰ)今までの分解整備のみ、(Ⅱ)電子制御装置整備のみ、(Ⅲ)分解整備と電子制御装置整備の両方を行う場合の3パターン。(Ⅰ)の場合は改めて申請する必要はない。(Ⅱ)や(Ⅲ)の場合は電子制御装置整備認証を申請する必要がある。(Ⅱ)は車体整備事業者や補修用ガラス事業者、(Ⅲ)はディーラーや専業整備工場の取得を見込む。

電子制御装置整備の対象作業はエーミング(機能調整)、カメラやミリ波レーダーが装着されたフロントバンパー&グリルの脱着とフロントガラスの脱着だ。電子制御装置整備の点検整備作業場として、対象車両に応じたスペースや整備用スキャンツール、水準器の保有、整備データを収集できる環境整備などの基準が定められている。また、電子制御装置整備に対応できる能力を持つ整備主任者を選任する必要がある。一級小型自動車整備士のほか、資格取得講習を修了した二級自動車整備士、自動車電気装置整備士または自動車車体整備士が整備主任者となれる。

ただ、特定整備認証(電子制御装置整備)の申請には24年4月までの4年間の経過措置がある。法施行の際、すでに電子制御装置整備を実施していた事業場は、認証を持っていなくても事業を行えることになっている。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)4月1日号より