経済産業省は、新型コロナウイルス感染症により悪影響を受けている新卒採用の支援強化に乗り出す。各地域で今後の成長が期待できる中小・中堅企業で採用活動を続けている企業を「新卒採用継続企業」として選定することを決定。第1弾として20日に計503社を公表した。今後、大学やハローワークなどに企業情報を提供し、対象企業と学生とのマッチングを図る狙い。コロナ禍の長期化によって、自動車業界でも採用を絞り込む動きが目立っている。経産省では学生の就職活動をきめ細かく支えることで、就職内定者の減少に歯止めをかける方針だ。

業績悪化で内定率も低下している(写真はイメージ)

新卒予定者と中小・中堅企業を結びつける取り組みは、梶山弘志経済産業相が20日の閣議後会見で明らかにした。来春卒業予定の大学生の内定率は10月1日時点で69.8%と、前年の同じ時期と比べて7.0%減少。梶山経産相は「リーマンショック後の09年に次ぐ下落幅であり、かなり厳しい数字」との危機感を示す。このため、「省庁の壁を取り払い政府一丸となって新卒者の就職のための支援をする」ことにより、「第2の就職氷河期を生み出さないよう全力を尽くす」考えだ。

今回選定した新卒採用継続企業は、「元気のいい企業」という将来性が見込める事業者が中心となっている。経産省では地域経済の中心的な担い手となり得る「地域未来牽引企業」、世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている「グローバルニッチトップ企業」、多様性のある取り組みを行う「ダイバーシティ経営企業」を優良企業として公表している。こうした企業の中で、採用活動を続けている企業をピックアップしていった格好だ。

採用する企業側にもメリットは大きい。優秀な人材確保のチャンスが広がることで、自社の成長戦略も描きやすくなる。それぞれの企業がフィールドを広げるきっかけになることも期待できることから、政府が取り組む中小・中堅企業の活性化にも役立ちそうだ。