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自動車業界トピックス

経産省、事業再構築補助金の産業構造転換枠に「自動車事故整備業」追加

最大7000万 事業再構築を支援

経済産業省は、中小企業の新分野開拓などを支援する「事業再構築補助金」に新設した「産業構造転換枠」の対象業種・業態に、「自動車事故整備業」を追加した。同枠は国内市場などの構造的な課題に直面している業種・業態に適用する。補助金額は最大7千万円で、補助率は中小企業が3分の2、中堅企業などが2分の1となる。先進運転支援システム(ADAS)の普及で車体整備の需要は、減ることが見込まれる。同枠による補助金の活用で、新規事業の立ち上げだけでなく、新技術対応を目指す事業者の取り組みも後押ししそうだ。

車体整備事業者の構造変化も支える

産業構造転換枠は今年3月の第10回公募から新設され、自動車事故整備業の追加は5月下旬に決定した。過去または今後の10年間で、製造品出荷額や売上高などの市場規模が10%以上縮小した(する)業種・業態に属する事業者が対象となる。業界団体が要件を満たす根拠を示すことで、指定を受けることができる。日本自動車整備振興会連合会(竹林武一会長)がまとめた「自動車整備白書」の事故整備売上高の調査を根拠資料とし、日本自動車車体補修協会(JARWA、吉野一代表理事)が指定要望団体として申請した。名称は根拠資料によるものとみられ、一般的な車体整備工場が対象になると考えられる。

同枠の補助金額は下限が100万円で、上限が従業員数20人以下で2千万円、同21~50人で4千万円、同51~100人で5千万円、同101人以上で7千万円。廃業を伴う場合は、廃業費として最大2千万円を上乗せする。

自動車整備では車両の進化に合わせ、EVの整備やADASをはじめとする電子制御装置整備、22年7月以降の新型車から搭載が義務化された「事故情報計測・記録装置(EDR)」のデータ解析などへの対応が求められる。車体整備でも、これらに必要な設備投資に補助金が役立つとみられる。

自動車関連ではこのほか、「石油卸売業・ガソリンスタンド・燃料小売業」と内燃機関車系の「自動車部品製造業」が対象となっている。これらには自動車産業の電気自動車(EV)シフトや車両の自動運転化が影響しているようだ。

JARWAでは指定要望団体として、車体整備事業者の補助金申請に対し、コンサルティングサービスの紹介や申請時の追加資料として自動車事故整備業を証明する証明書の発行なども検討し、補助金の活用を支援するとしている。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)5月31日号より