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自動車業界トピックス

経産省、成長型循環経済実現へ横断組織を発足

多様な産業で資源の3R促す

経済産業省は、循環型経済を発展させるための「資源自律経済戦略(仮称)」を2022年度中に策定する。日刊自動車新聞の取材に応じた畠山陽二郎産業技術環境局長が明かした。同戦略の策定に向け、9月にも有識者会議を開く。また、製造産業局自動車課なども加わった省内横断組織「資源自律経済デザイン室(仮称)」を立ち上げ、自動車を含む多様な産業で循環型ビジネスの実現に向けた取り組みの具体策を検討する。成長型の循環経済の実現に向け、社会実装を見据えた戦略にする考えだ。

自動車でも循環型経済の構築が急がれる

新たに策定する戦略案では、2020年に公表した「循環経済ビジョン」をより具体化する。大量生産、大量廃棄を前提とした従来型の線形経済から、あらゆる段階で資源の3R(リデュース・リユース・リサイクル)を促していく循環経済への移行を推進することが狙いで、資源循環と経済成長の両立を目指す。畠山産技局長は「ビジネスモデルを(循環型に)変えると売り上げが減る企業も出てくる。環境と経済の好循環を実現できる成長志向型の戦略を目指す」とした。

新戦略の策定に向け、省内横断組織を新設する。産業技術環境局資源循環経済課を中心に、製造産業局からは自動車課や素材産業課なども加わる見込み。産業ごとの課題の洗い出しや必要な取り組みを共有し、新戦略に落とし込む。また、合わせて「資源自律研究会(仮称)」も開催し、有識者の意見を踏まえた上で戦略を練る。限られた資源を再利用する仕組みをつくり、国際標準にすることで投資を呼び込みたい考えだ。

自動車産業では、埋蔵量の枯渇が危惧されている電池材料のレアメタルの回収スキームの構築やカーシェアリングなど遊休資産の有効活用、生産時の部材ロス、ASR(自動車シュレッダーダスト)の削減や回収などに取り組むとみられる。原材料の調達から使用後処理までのライフサイクルアセスメント(LCA)全体で循環性の高い製品や技術、ビジネスモデルを検証していく。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月25日号より