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自動車業界トピックス

経産省、2023年中に「水素産業戦略」 商用FCV関連も

官民一体の技術開発で国際競争力を強化

経済産業省は、日本の水素関連技術を海外に売り込むための施策を盛り込んだ「水素産業戦略」を2023年中にまとめる。早ければ年明けにも検討会を立ち上げ、議論を始める。自動車分野では、商用燃料電池車(FCV)における技術開発の方向性や、国による支援措置などが盛り込まれる見通しだ。日本勢が強みを持つ水素関連技術の開発を官民一体で加速させ、国際競争力の向上につなげていく。

トヨタなどが発売を予定するFCトラック(試作車)

水素関連技術を持つ日本企業の海外進出を後押しするための施策も戦略に盛り込む。対象として見込むのは、水電解装置や水素ガスタービン、液化水素運搬船など、日本の企業が国際的に見て一定の優位性やシェアを持つ製品や技術とする。今は事業性に乏しいものの、今後の成長が期待できる領域を対象に加えることも検討する。

自動車分野では、FCV関連技術が盛り込まれる見通し。すでに量産されている乗用FCVに加え、商用FCVでの可能性も探る。

商用車の電動化をめぐっては、積載量の確保や航続距離に課題がある電気自動車(EV)より、FCVを有力視する声が多い。日本メーカーでは、トヨタ自動車がいすゞ自動車、日野自動車と共同で開発する小型FCトラックを来年1月以降に投入する計画だ。水素タンクや水素エンジン、燃料電池スタックなど関連する技術を開発するサプライヤーも多く、まずは国内で一定の需要を確保してから、海外展開を検討していく。日本基準の国際標準化も一体で進めていく。

水素関連技術では、今後10年間で、水素サプライチェーン(供給網)の構築などに約7兆円、商用車のFCV化などに約3兆円の投資を政府の「GX実行会議」で見積もっている。経産省は今秋に「モビリティ水素官民協議会」を立ち上げるなど、商用FCVの実用化に向けた動きが再び活発になっている。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月8日号より