自動車メーカー9社の2020年第1四半期(4~6月期)決算発表が27日から始まる。本決算では21年3月期業績予想の公表を見送った7社のうち、多くが通期の見通しを示すとみられる。新型コロナウイルスが直撃した第1四半期の業績は、過去になく厳しい結果になると予想される。新型コロナ収束のめどがつかず先行きが依然として不透明な中で各社はどのように第2四半期以降のシナリオを描いているか、注目が集まる。

自動車各社4~6月期決算発表予定

4、5月に発表した20年3月期決算発表では、トヨタ自動車、いすゞ自動車の2社が21年3月期の業績予想を公表するのにとどまった(日野自動車は目安として売上高、営業利益、世界販売台数目標を公表)。新規感染者数の増加はいまだに止まらず、業績予想の合理的算出が難しい状況に変わりはないが、さらに業績予想の公表を遅らせた場合、株価などに与える影響も大きいため、多くが何らかの数値見通しを公表する可能性が高い。

乗用車各社が「底」とみる4~6月は世界的に販売が落ち込んだ影響で前年同期と比べて売上高が3割以上減少する企業が多そうだ。当該期間における主要地域の新車販売市場は、中国が約1割増で推移し、日系自動車メーカーの販売も好調だったが、日本と米国が約3割減、欧州が約5割減と大幅に落ち込んだ。東南アジアの減少幅も大きい。リーマンショック後に鍛えてきたという稼ぐ力で損益への影響をどこまで抑えられたかが焦点の一つとなる。

追加の収益改善策にも関心が集まる。三菱自動車は通期の業績予想とともに21年度からの新中期経営計画を発表する。柱の一つとする固定費削減に向けた具体策を公表する見通しだ。

新型コロナの感染を防ぐために、本決算に続いて説明会は今回もウェブや電話会議形式で行われる。そうした中、トヨタは今回を皮切りに業務改善の一環で第1四半期と第3四半期は説明会を実施しないことを決定。決算説明会のあり方も変わりつつある。