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自動車業界トピックス

自動車生産、2022年も半導体不足の影響続く

供給量回復も正常化には時間要する

車載半導体不足による自動車生産への影響が2022年も続く見通しだ。半導体大手のルネサスエレクトロニクスで車載向けを担当する片岡健執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部長は半導体の供給が正常化するのに年内いっぱいかかるとの見通しを明らかにした。ホンダの三部敏宏社長は半導体不足が「22年前半は影響が残る」としており、22年上期の自動車生産は依然として不透明との見方を示す。車載半導体の生産は「優先されている」もようで、供給量は回復傾向にあるものの、正常化までには時間を要する見込み。

車載半導体の供給量は回復傾向にあるものの…(写真はイメージ)

半導体の受託製造会社や半導体メーカーの増産で、車載半導体の不足感は一時より和らいでいるものの、ルネサスの片岡執行役員は「22年前半に回復させるのは難しい」とみており、自動車生産が正常化するのに年内いっぱいかかるとの見方を示す。

世界的な半導体不足で、自動車メーカーは工場の稼働停止や減産など、生産調整を実施しており、21年の自動車生産・販売台数は大きく落ち込んだ。半導体メーカーの一部は、不足感の強い車載半導体を優先して供給しているケースもあるもようだが、依然として不足している。トヨタ自動車やホンダ、スズキなど、1月から2月にかけても自動車を減産する完成車メーカーは少なくない。

自動車メーカーの一部では、21年の減産分を取り戻すため、挽回生産を計画しているものの、想定していた半導体を調達できないケースも出ている。ホンダは22年前半まで半導体不足の影響が残り「年後半には改善する」(三部社長)とみるが、期待通りに供給が正常化するかは不透明だ。

自動車メーカー各社は今回の半導体不足の問題を受けて、半導体の在庫量を増やすほか、半導体メーカーが持つ半導体材料なども増やすよう要請するなど、コストを含めて交渉している。自動車メーカーが在庫する半導体の納入は23年以降になる見通し。

半導体不足による自動車の生産調整で、納車が遅れており、自動車メーカー各社は受注を大量に抱えている。半導体不足の回復に時間を要することから、こうした状況は当面続く見通しだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)1月11日号より