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自動車業界トピックス

金融庁の有識者会議、不正防止へ損保にも「認定代理店」の導入を提唱

 ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)の自動車保険金不正請求問題などを受けて損害保険業界の課題を話し合う金融庁の「有識者会議」(座長・洲崎博史同志社大学大学院司法研究科教授)が3月下旬から始まった。初会合では、ビッグモーターのような大規模な乗合保険代理店を管理・監督するために、生命保険業界のような「認定代理店」制度を損保業界でも導入するべきだという意見が座長を除く8人中、6人から出た。

保険業法では原則、保険会社が保険代理店を管理監督することになっている。

ただ、保険販売額が大きく、複数の商品を扱う大規模な乗合代理店が増えてきた。販売力を逆手にとり「力関係が逆転している」と有識者会議メンバーの大半が同じ認識を示した。

今回の会議では、金融庁や各地方財務局(保険代理店について監督権限を委任)が、損保や保険代理店の実効的な監督をどのように確保していくかについてもテーマになっている。損保の代理店は15万~16万店ある。

昨年11月下旬、金融庁によるビッグモーターの代理店登録取消の会見で、なぜこれまで同社のひどい実態を把握できなかったのか、当局の責任を問う質問も相次いだ。

これらの対策の一つの方法として挙がったのが22年4月から生保業界で導入されている「認定代理店」制度だ。生保からも代理店からも独立した第三者としての生命保険協会が代理店を調査し、一定の条件を満たした代理店が認定代理店になり、ホームページなどで公表される。

金岡京子・東京海洋大学理事・副学長は「このような客観的、専門的な第三者機関が代理店の品質を評価する仕組みがあっていい」と述べた。

嶋寺基弁護士も「損保だけでは代理店の管理ができない。(認定代理店制度も)変えていくための方策の一つ」と話した。

永沢裕美子・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会代表理事副会長は「金融庁の監督を補完するために必要だし、情報は金融庁にも共有してもいいのではないか」と指摘した。

賛同者は、第三者の視点を入れることで消費者の信頼性が増すことを強調した。

有識者会議は6月末までに報告書をまとめる。保険契約者が商品の選択を正しくできるかや、余計なコストを支払うことがないようにするといった視点から対策を考える。

報告を受けて「保険業法の改正が必要」ということになれば、金融審議会(事実上、金融担当相の諮問機関)の議論に移る見通しだ。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月5日号より