電気自動車(EV)とガソリン車との価格差が縮まりつつある。米テスラは、最量販モデル「モデル3」のエントリーグレードを82万円引き下げ、プレミアムセダンで同車格の価格を下回る。出光興産は超小型EVに参入し、100万~150万円程度での販売を目指す。ユーザーの購入負担を軽減する補助金の拡充も追い風に、これまで普及のネックとなっていた車両価格の高さが解消されれば、ガソリン車に対するEVの競争力が高まりそうだ。

テスラは17日、国内で販売するモデル3の価格を見直すと発表した。航続距離(WLTPモード)430㌔㍍の「スタンダードレンジプラス」の価格を消費税込みで511万円から429万円に引き下げると同時に、航続距離580㌔㍍の「ロングレンジAWD」は従来比156万2千円減の499万円に変更する。

テスラ「モデル3」

仮に環境省のEV補助金(上限80万円)が適用されれば、エントリーグレードの価格を350万円未満に抑えられる可能性がある。

モデル3と同車格のプレミアムセダンのエントリー価格を比較した場合、トヨタ自動車のレクサス「IS300」(480万円)を下回る。同様にメルセデス・ベンツ「Cクラス」(489万円)よりも安価になる。

EVをより手の届きやすい価格で提供しようとする動きもある。出光興産はタジマモーターコーポレーション(田嶋伸博会長兼社長CEO、東京都中野区)と4月に新会社「出光タジマEV」を設立。10月に4人乗りの超小型EVを発表し、22年の投入を目指す。100万~150万円程度の販売価格に抑え、国内で年間100万台と想定する潜在需要の掘り起こしを狙う。

日本政府はグリーン成長戦略の中で、今後10年でEVの導入を強力に進めていくとの方針を打ち出し、3つのEV購入補助金を用意する。再生可能エネルギー由来の電力調達などユーザーのライフスタイルや車両の使い方に応じて申請でき、今後の電動車の普及にさらに弾みがつきそうだ。