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自動車業界トピックス

EV用充電器、独自の補助制度を設ける自治体が増加

ゼロカーボンシティ宣言が施策を推進

神奈川県横須賀市内のスタジアムに設置されたエネチェンジのEV充電器

電気自動車(EV)の充電器について、独自の補助制度を設ける自治体が増えている。充電器事業も手掛けるエネチェンジ(城口洋平社長、東京都中央区)の調べでは、2022年の33から23年は5月下旬の時点で、43の自治体に増えたという。50年に二酸化炭素(CO)の実質排出量ゼロに取り組む「ゼロカーボンシティ」宣言をした自治体が増えている。この活動の一環として、EV普及に取り組んでいることが要因の一つとみられる。

同社では全国で独自補助を設ける自治体が増えているのは、東京都が力を入れていることも影響しているようだとみている。都は独自のサイトを立ち上げ、30年までに集合住宅(マンションなど)に6万基の充電器を設置する目標を掲げている。都民の7割が集合住宅に住んでおり、EV普及に高い効果が得られそう。集合住宅が多い全国の政令指定都市をはじめ、都市部の自治体を中心に独自の補助制度を設ける動きがじわじわ広がっているようだ。

自治体が管理している施設にEV充電器を設置するケースも目立っている。福岡県みやま市では廃校を利用した創業支援施設「ルフラン」や総合市民センター「MIYAMAX(みやまっくす)」などに設置した。神奈川県横須賀市でもスタジアムに設けたほか、充電器の出力向上のため、機器を取り替える動きも目立っている。

 同じく充電器の設置拡大に取り組む川崎市の担当者は、「EVの需要が高まることが想定される」とした上で、「策定した市の計画では30年までにCO排出量を市全域で13年度より50%減らすことを目指しており、運輸部門で脱炭素を推進することが求められている」としている。

一方、補助の予算を減らす自治体もあった。大阪府や東京都足立区だ。両自治体とも22年の申請が少なかったことを理由にしている。国産EVの選択肢が増えたのが同年からだったこともあり、これらの自治体については、補助金を付けた時期が少し早すぎたのではないかとの見方も出ている。

自治体の補助金申請については、申請書類の用意や提出期限が重要になる。エネチェンジでは「利用のためには早めのアクションが必要」と呼び掛けている。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月7日号より