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よくわかる自動車業界

自動車業界入門 ⑥二輪車市場

四輪車より機動性に富み、維持費も安い二輪車は通勤や業務、趣味の道具として世界中で利用されています。グローバル市場は年間約6千万台の規模で、世界首位のホンダなど4メーカーを抱える日本は約700万台の生産と300万台の販売を誇った時期もありましたが、主戦場はアジアやインドへ移り、2019年の国内生産は43.7万台(前年比14.6%減)、販売は36.2万台(同1.8%減)でした。

 二輪車は、通勤や業務に使う「コミューター」、スポーツや趣味の道具としての「モーターサイクル」に大きく分けられます。ただ、厳密な定義はなく、同一排気量でも混在していたりします。日本の道路交通法(免許)では、原動機付自転車(排気量50cc以下)、普通自動二輪の小型限定(125cc以下)、普通自動二輪(400cc以下)、大型自動二輪(400cc超)に、道路運送車両法(登録や車検)では原付1種(50cc以下)、原付2種(50cc超~125cc以下)、軽二輪(125cc超~250cc以下)、小型二輪(250cc超)に区分されています。

国民の所得が増えるにつれて、二輪車のコミューターが担う移動需要が四輪車へ移るのは各国共通です。ただ、趣味性の高いモーターサイクル市場に一部の需要が移行するかどうかはお国柄があるようで、今のところは既存の日米欧にインド、ブラジルなどが期待されているようです。

成熟市場の日本でも大型自動二輪免許の規制緩和(1996年)、高速道路の2人乗り解禁とAT限定免許(2005年)、駐車場法の改正(06年)、ETC定額制(ツーリングプラン、06年)といった制度改正により、利用環境の改善が少しずつ進んでいます。

今後の市場活性化のカギは電動化の進展やMaaS(サービスとしてのモビリティ)需要の掘り起こしにありそうです。免許区分を排気量ではなく欧州のような出力別にするよう求める声もあります。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)4月21日号より