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よくわかる自動車業界

自動車業界入門 ㉒車体整備

自動車整備には大きく分けて分解整備と車体整備との2つがあります。分解整備はエンジンやブレーキなどの交換や修理を行います。一方、車体整備は車体の傷や凹みを直し、塗装します。

車体整備では一般的に事故車の整備などを行います。車体整備士らが損傷した車体を修正し、外観を復元します。内容は主にボディーを元に戻す板金作業と、修復した箇所の塗装作業となります。板金では内側からハンマーで叩く、溶接機を用いて引っ張るといった方法で修理します。塗装は紫外線などによる経年劣化で、新車時よりも色あせた部分と板金した箇所を調合する必要があります。こうした技術はベテランのスキルの見せどころ。手掛けるスタッフの腕次第で完成度の高さが違ってきます。

 車体整備業界にも変革の波が押し寄せています。ボディーカラーの調合や機器の取り扱いには経験や技術が必要で、技術の伝承や後継者の育成に課題を抱えています。ただ、長年「職人」として一定の称賛を得ながら仕事してきただけに、自らの技術を安易に教えることに抵抗感を示す人もいるようです。

最近では若年層のクルマ離れの影響で自動車業界を志望する若者が少なくなりました。車体整備業界の現場作業では、騒音や油汚れ、塗料の臭いなどが避けがたいため、作業環境の改善が課題です。

さらに、今年4月の道路運送車両法の改正で、自動運行車の点検整備を見据えた「特定整備」制度がスタートしました。カメラやセンサーなどのエーミング(機能調整)作業を行うための新たな認証が必要となる「電子制御装置整備」が導入されました。電子制御装置の搭載車はフロントバンパーやグリル脱着も特定整備の対象作業となります。つまり、対象車種の車体整備を手掛けるには特定整備認証資格の取得が不可欠で、車体整備業界は対応を迫られています。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)5月26日号より